ビジネスの場において、女性が競争の激しい社会の中で生きていくには、何を心がければよいのでしょうか。男性と同等以上に頑張らなくては、と懸命に努力を重ねてきた人も多いと思いますが、体力やタフさに限界があることも事実です。
頑張ったり耐えたりすることで、会社に守ってもらえる時代も終わりつつあります。女性特有の「強み」や「特性」を自覚しながら、自分で自分を大切にして働くテクニックを持っていくことが必要です。
ホルモンの影響を大きく受ける女性の「特性」
たとえば、ビジネスパーソンで罹る人も多い「うつ病」。実は男性より女性に多いといわれています。うつ病自体の原因は明らかになっていませんが、女性に多い背景には、ホルモンの影響や、ライフスタイルの大きな変化などがあると考えられています。
女性は、月経周期や妊娠などによって、ホルモンの分泌が激しく変動します。いわゆる「マタニティーブルー」も周産期のホルモン動態の関連があるとされ、出産後には産褥うつ病、更年期には不定愁訴などに悩まされる人も少なくありません。
また、ライフサイクルの各段階において、女性特有の健康管理上の課題があります。冷え性や月経前症候群、月経困難症や生理痛などに悩む働く女性は多いでしょう。
しかし企業の体制や処遇は男性中心に築かれていることが多く、必ずしも女性特有の事情に合わせたものにはなっていません。
ホルモンと体調の関係は、あらかじめ予測したり予防したりすることは難しく、身体の生理反応でもあるので避けられない側面があります。日常生活の中で身体に負担をかけず、ホルモンの自然な変化を受け入れる余裕を持っておきたいものです。
脳の使い方の「強み」を活かす
一方で女性には、使い方によって男性を上回る働きができる「強み」もあります。
例えば、男性と女性とでは、脳の構造や働き、それに伴う感性が異なるといわれています。女性の脳は男性に比べて右脳と左脳をつなぐ脳梁が大きく、脳全体を使って会話をしていると考えられています。
その結果、言語中枢がある左脳を中心に使って会話する男性が理論立てて話すのに対し、女性は周辺の話題を取り込みながら会話をする傾向にあります。もちろん、これは傾向ですので、皆が一様に同じではありません。
この特性の違いを考えると、例えば人間関係のコミュニティを上手に利用し、周囲を巻き込みながら物事を進める場合には、女性特有の感性が活かされるのではないでしょうか。また、問題や対策に対する直観的なアプローチを持ち込むことも考えられます。
急成長するIT企業の中でも、組織運営や人材採用などにおいて、女性経営者が新鮮なアプローチをしているケースもあるようです。グループ内のポジションに、意識的に女性を配置することも時として有用ではないかと考えられます。
また、ビジネスの場において、男性と同じ目線を持つだけでなく、女性ならではの発想や視点を吹き込んでいくことで、チャンスを産む可能性が高まるのではないでしょうか。
女性の人材活用を進めようと考えている経営者や管理者にも、男性と同じレーンで競争させるだけでなく、女性の生理や感覚を理解し、「強み」を上手に活かしていただきたいものです。