強いストレスを感じたら 脳を解毒する「睡眠」の効果的活用法

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   誰にでもできる脳内のデトックス(解毒)法、それは「睡眠をとること」です。忙しくて「眠る時間が取れない」という人も、放置していると「眠れない」状態に陥ってメンタル面の健康を損ないます。強いストレスを感じたら、何を置いても十分な睡眠を確保するようにしましょう。また、寝る前のパソコンはよい睡眠を阻害するので避けたほうがいいでしょう。

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昼寝でも疲労物質を分解

昼寝で脳をリフレッシュ
昼寝で脳をリフレッシュ

   睡眠中に体内で起こっている変化については未解明な部分も多いのですが、脳をリフレッシュするために睡眠が非常に重要であることはわかっています。

   睡眠を十分とると、身体の睡眠である「レム睡眠」と、脳の睡眠である「ノンレム睡眠」が繰り返され、日中の活動で脳内に蓄積された疲労物質を分解します。

   副交感神経の働きも優位になり、ホルモンの作用で免疫力が高まって身体の傷ついた部分の修復や疲労回復も進みます。

   また、嫌なことがあると、いくら楽しいことをしていても、ふと思い出してしまったり、あれこれ考えてしまったりします。特に抑うつ状態になると、頭の中を空っぽにしてボーッとすることすらできなくなってしまいます。

   睡眠中は当然意識がないので、ストレスとなっていることを考えることも思い悩むこともできません。これが結果的にストレスに押しつぶされずに解決に向かう力を湧きたてることにもつながるのです。

「睡眠をとる時間もないほど忙しい」

   という声もよく聞きますが、著しい睡眠不足に陥っているときには、アルコールで酔っているのと同じくらい脳の働きが低下しているという研究結果もあります。

   徹夜で仕事に臨むよりも、睡眠を十分にとってから取り組んだ方が、結果的に能率が上がったり、よいアイデアが出たりした経験のある人もいるでしょう。

   また、昼間の睡眠は短時間であれば効果的に疲労を回復することができ、午後の仕事の能率があがります。

夜はストレスから遠ざかろう

   ただ、時間的な問題だけでなく、ストレスによって「寝つきが悪く、よく眠れない」「眠りが浅く、すぐ目覚めてしまう」という状況に陥ってしまう人もいるでしょう。そんなときは、睡眠を改善するコツを試してみましょう。

   眠気は、体温が上がってから下がるときに生じます。床に入る1~2時間前に、ぬるめのお湯にゆっくり浸かって身体を温めましょう。熱いシャワーでは身体の芯がまで温まらず、かえって目が覚めてしまいます。

   寝床の周りからは、交感神経を優位にして睡眠を妨げるテレビやパソコン、携帯電話などを追い出しましょう。寝る直前には、軽く読書をしたり音楽を聞いたりすると、リラックスして副交感神経が優位になります。

   朝は目覚めたらすぐに、朝の光をしっかりと浴びて、体内時計をリセットしましょう。早めに起床することで、夜は早めに眠気がくるようになります。

   昼間はストレスに満ちた生活を送っているからこそ、夜は睡眠によって一時的に遠ざかり、心の余裕を得てから新たな仕事に向かってはいかがでしょうか。


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今回の筆者:友常 祐介(ともつね・ゆうすけ) 筑波大学大学院 人間総合科学研究科産業精神医学・宇宙医学グループ所属。労働衛生コンサルタント。筑波研究学園都市で働く研究者のメンタルヘルスに関する研究で医学博士を取得。現在、日本原子力研究開発機構などで産業医を務め、幅広い健康管理に携わっている。

筑波大学大学院・松崎一葉研究室
高度知的産業に従事する労働者のメンタルヘルスに関する研究を行い、その成果を広く社会還元することを目指している。正式名称は筑波大学大学院人間総合科学研究科 産業精神医学・宇宙医学グループ。グループ長は松崎一葉教授(写真)。患者さんを治療する臨床医学的な視点だけではなく、未然に予防する方策を社会に提案し続けている。特種な過酷条件下で働く宇宙飛行士の精神心理面での支援も行っている。松崎教授の近著に『会社で心を病むということ』(東洋経済新報社)、『もし部下がうつになったら』(ディスカバー携書)。
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