皆さんは「ストレス解消」と聞いて、どんなことを頭に浮かべるでしょうか。ヤケ酒、ヤケ食い、買い物、旅行など、外に向けたストレス発散を思い浮かべる方が多いと思います。しかし、どれも多額なお金や長い時間を費やしたり、度を超すと身体を壊すきっかけとなったりします。また、仕事の合間にやりたいと思ってもなかなかできないといった欠点もあります。
意識を「身体のパーツ」に集中させるだけでよい
そこで今回は、ストレスと上手につき合うために、職場でも手軽にできるストレス解消法をお教えします。ぜひ皆さんも一度試してみてください。
1.心と身体の緊張をほぐす
まずは楽な姿勢を作りましょう。自分のデスクでも休憩室の椅子などでも構いません。軽く目を閉じ、身体の力を抜いて、頭の中で「気持ちが落ち着いている」とゆっくりと繰り返し唱えて、呼吸を整えリラックスしましょう。
2.身体の重さに意識を集中させる次に、身体に意識を移します。まずは頭の中で「右手が重たい」とゆっくり10回ほど繰り返しましょう。だんだんと右手が重たく感じられてきたらOKです。
また「左手が重たい」と同じように頭の中で繰り返し、腕の重さが右から左へ移っていくのを感じてください。このように、右手→左手→右足→左足と、身体のパーツの重さが移り変わっていくことにだけ意識を集中させてください。
3.身体の温かさに意識を集中させる今度は「身体の重さ」から「身体の温かさ」へ意識を移していきます。頭の中で「右手が温かい」とゆっくり繰り返し、右手が温かくなるように感じられてきたらOKです。その後は同様に、右手→左手→右足→左足と、身体のパーツの温かさが移り変わっていくことにだけ意識を集中させてください。
4.身体を戦闘態勢に戻す最後に、背伸びをしたり、首と肩をよく回したり、深呼吸を行うなどして目覚めます。リラックスして落ち着いた身体を醒まし、目を開けて、再び戦闘態勢に戻りましょう。これで心に溜まったもやもやが、少し晴れたような気分になるでしょう。
ストレスの原因に向き合わないことも大事
ご存知の方もいるかもしれませんが、この手法は「自律訓練法」と呼ばれ、仕事や日常生活で溜まっているストレスを上手に解消させる技法として、大変有名なものです。
実際には第6公式まであるのですが、今回説明した段階(第2公式)まででも、十分に効果があることが経験的に分かっています。
自律訓練法の要素が含まれるリラクゼーション方法には、「足湯」や「半身浴」などがあります。また、いわゆる「アルファ波音楽」を聴くことも、これらと共通する要素があり、自然な形で自律神経を整えることができます。
ただ、アルファ波とは、リラックスしたときに出る脳波の成分のことで、音楽の中に脳波を同調させる音波が入っているわけではありません。リラックスできる音楽なら、なんでもよいということです。
ストレスの原因となっている問題に正面から向き合い、解決していくことはもちろん大事ですが、今回紹介した「自律訓練法」や、時には外に向けたストレス発散を効果的に使いこなし、体勢を整えることも必要です。
そして、ストレスで不安定となった心や身体が安定した状態を取り戻した後で、あらためて難しい問題に立ち向かっていくことが、ストレス社会を生き抜くビジネスパーソンに求められるスキルなのではないでしょうか。