上司の言葉がけひとつで、モチベーションが高まった経験はありませんか?
実際のエピソードや感動的なエピソードを取り上げ、人材育成支援企業FeelWorks代表の前川孝雄さんが「上司力」を発揮するヒントを解説していきます。
今回は、失意の底から立ち直ろうとした若者が、ある「出来事」から働きがいを見出したエピソードです。
リハビリで始めた仕事は...
<「この資料じゃ使えない!」「仕事の優先順位がわかってない!」 心ない上司の言葉に新入社員が失意の末に>の続きです。
Aさんは、職場を退職し療養に専念し始めると、半年ほどでだいぶ体調が回復してきました。
そこで、社会復帰に向けたリハビリを兼ねて、体調に合わせて時間の融通が利きやすい、短期派遣の仕事にチャレンジすることにしました。その仕事とは、街頭でのチラシ入りティッシュ配りでした。
人通りの多い駅前に立って、道行く人にポケット・ティッシュを手渡す仕事です。
その初日。始める前は簡単な仕事だと考えていたものの、実際にはなかなか思うようにはいきません。
「よろしくお願いします」と声をかけながら手渡そうとしても、誰も受け取ってくれないのです。1時間も経つうちに、まるで自分の存在が無視されているように感じられて、だんだんしんどくなってきました。
少し立ち位置を変えてみたり、声掛けと渡すタイミングを見計らったりと工夫をしますが、やはりうまくいきません。
次第に気持ちが落ち込んできて、うつむき加減になりました。そうなると、ますます悪循環。通行人が皆、遠回りに自分を避けていくようです。
「(やっぱり、自分はこんな簡単な仕事でも出来ないのかな...)」(Aさん)