新入社員の意向尊重か?企業の人員充足か? 人事担当者の悩み「配属先の伝達時期」...入社後4割も、改革進む企業続出

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「希望通りでないと、断られる心配」の裏にある企業の自己都合

   J-CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった就職みらい研究所所長の栗田貴祥さんに話を聞いた。

――人事担当者が新入社員に配属先を知らせた時期をみると、結局入社後が約4割になりました。この結果をどうみますか。就活生の希望を考えると、もっと早く知らせるべきでしょうか。それとも企業側の事情を考えると、やむを得ないでしょうか。

栗田貴祥さん 当研究所の別の調査で学生に聴取したところ、学生が希望する配属先確定時期としては、入社時以降はわずか約12%で、「入社を決める前まで」が約4割、「入社を決めた後~入社前まで」が約3割となっており、それに比べると入社後に配属先を知らされる割合が高いと感じます。

企業側にもさまざまな事情があるとは思いますが、配属確約の応募ルートを設ける、選考中に配属先について可能な範囲で明示するなど、多様化する個人の志向や価値観に合わせて、配属先に対する不安を取り除くための柔軟な対応をとっていくことが、採用戦略実現に向けた一手となり得るのではと考えています。

――人事担当者が、内定承諾前に配属先を確約する難しさを示したフリーコメントが興味深いです。「学生の適性の見極めが難しい」とか、「各部署との人材のすり合わせが困難」といった苦悩が浮き彫りになっています。栗田所長が特に注目した意見はなんでしょうか。

栗田貴祥さん 「希望通りでないと、断られる心配」というコメントが複数寄せられた点が、注目すべきポイントの1つだと考えています。

こちらの質問を設定した際には、昨今の配属確約採用の事例などを踏まえ、学生が希望する部署への配属確定を内定承諾前に行うことの難しさについて回答いただくことを想定していました。

こちらの質問を設定した際には、昨今の配属確約採用の事例等を踏まえ、学生が希望する部署への配属確定を内定承諾前に行うことの難しさについて回答いただくことを想定していました。

しかし、「希望通りでないと、断られる心配」という回答から読み取れるのは、企業の都合で決定した配属先を、内定承諾前に伝えることを想定して、その際の課題を回答いただいたのだと理解しております。

そもそもの新入社員の配属にあたっての前提の考え方には、企業によって大きなギャップがあることが改めてわかりました。

ご指摘のとおり、社内の関連部署との調整が難しいといった点などが背景にあると思いますが、新入社員の配属を、企業都合の人員充足観点のみで検討するのが当たり前だという考えを改める必要があると考えています。
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