スズキは、トヨタとダイハツに「恩」を返す?
――トヨタグループの不祥事連発で、日本の自動車業界はどうなるでしょうか。
藤本さん 軽自動車シェアトップだったダイハツの不正事件で、軽自動車業界の再編が進むと思います。スズキはダイハツの親会社のトヨタに恩があり、トヨタの仲立ちでダイハツ・スズキが連合を組む可能性があります。
1975年の排ガス規制で、スズキの2サイクルエンジンがクリアできなかった時、スズキはトヨタに頭を下げ、競合相手のダイハツからエンジンの供給を受けました。また、トヨタはスズキに出資しており、昨年(2023年)6月、社員の石井直己氏をスズキの代表権のある副社長に送り込んでいます。今度は、スズキがトヨタとダイハツに「恩」を返す番になるでしょう。
――ダイハツ・スズキ連合とライバルになるのはどこですか。
藤本さん まず、日産・三菱連合があります。日産自動車と三菱自動車は、2011年に軽自動車を共同開発する合弁会社「NKKV」をつくり、それぞれ「デイズ」と「eKワゴン」シリーズを出しています。
こうした勢力に対抗するのが、国内で最も売れている軽自動車「N-BOXシリーズ」を抱えるホンダですが、実は、ホンダの軽自動車分野は収益率が高くなく、苦戦していると言われます。
――個人的な話になりますが、「N-BOX」は私の愛車です。
藤本さん それはお買い得でしたね(笑)。軽自動車なのに高級車並みの装備がいっぱい付いています。だからコスト高になり、売れているのに収益性に乏しくなっているのです。
一方、ホンダは2026年のF1レース復帰を発表しています。独自路線を貫く会社なので、「ダイハツ・スズキ連合」と「日産・三菱連合」と1社で戦うのか。あるいは、「日産・三菱連合」に入り、普通自動車の次世代車の開発に注力するのか。目が離せない展開になりそうです。
(J‐CASTニュースBiz編集部 福田和郎)