トヨタグループ不正ラッシュで自動車業界再編へ 「ダイハツ・スズキ」VS「日産・三菱」VS「ホンダ」か?

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トヨタが「世界一」より狙う「次世代に受ける車」

   J‐CASTニュースBiz編集部は、調査を行なった帝国データバンク情報統括部の藤本直弘さんに話を聞いた。

――新たに豊田自動織機の不正まで発覚したわけですから、自動車販売業界のDI(景況感)は、今後もどんどん下がるでしょうか。

藤本直弘さん 普通に考えるとそうなりますが、そう単純にはいきません。現在、ダイハツ工業の出荷が1か月ストップしており、日本の新車市場から約7万台が滞っています。毎年4月は転勤、入社、子どもの進学と、生活環境が変わりやすく車を買い替える時期にあたります。

1~3月は新車購入の予約が真っ盛りになりますが、そこに向けての新車が不足しているため、中古車の価格が上がり、「中古車バブル」に近い状況になっています。つまり、自動車販売業界全体の景況感としては、上向く可能性もあるわけです。

しかし、中古車価格が高騰すれば、「もう、車は買わない」という人が出てくるし、新車が止まれば中古市場にも車が入らず、バブルは一挙に崩壊します。今年はイレギュラーで、先行きが全く見通せない状態です。

――なるほど。ところで、トヨタの豊田章男会長が謝罪しました。一方でトヨタは世界販売台数が世界1位にもなりました。グループ企業の不正はトヨタにどんな影響を与えるでしょうか。

藤本さん トヨタは、グループ企業のコンプライアンス対策に本腰を入れて、グループ全体の手直しを始めるでしょう。しかし、子会社の不正事件がトヨタ本体の経営に与える痛手は、ほとんどないと思われます。

しかし、トヨタは今、手探りの状態にあります。2023年4月に佐藤恒治社長が就任してから、「トヨタは、販売数世界一を目指さない」と宣言しています。今回世界一になったのは、「結果的にたまたま」でしょう。

世界一を狙わないのがトレンドで、それは今回2位だった独フォルクスワーゲンも同じ。各自動車メーカーとも販売台数より、「次世代に受け入れられる自動車は何か」を必死に模索しています。水素エンジンを開発しているトヨタはEV(電気自動車)で後れをとっていますが、そのEVも電気代コストが高騰するなど、世界的に伸び悩んでいます。

EVで先行していたフォルクスワーゲンや、BMWなども水素に目を向け始めるなど、「脱炭素化の環境にいい車は、何が一番いいのか」と、各社とも試行錯誤を繰り返しています。だから「世界一、バンバンザイ!」とは決して言えません。
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