「就活生のAI活用」肯定的な企業担当者が7割 「禁止できないなら上手に使って」と願うワケ

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就活生の基本的な力を見極めにくくなる

   Aさんは、ある有名大学のキャリアセンターのコンサルタントから、武田薬品工業を志望する学生の模擬面接で、あまりの勉強不足に驚いたという話を聞いたという。

「タケダをひとことでいうとどんな会社か、と学生に尋ねると『アリナミンの会社』と答えたそうです。でも、タケダは医療用医薬品で世界有数の大手企業で、オンコロジー(がん)の領域では世界トップクラス。売り上げの大半を海外であげています。日本の消費者向け医薬品なんて微々たるもので、2021年にはついに事業ごとファンドに売却されました。その程度のことを頭に入れずに面接に臨もうとするなんて、会社をバカにしていると思われても仕方ないでしょう」

   普通の大学生にとって会社のイメージはテレビCMなどで形成されるのかもしれない。試しにGoogle Bardに「武田薬品工業とはどんな会社ですか?」と尋ねたところ、答えの中に「アリナミン」の文字はなかった。

   Aさんは「あまり恥ずかしい状態で面接に臨んで欲しくない」と有効利用に期待している。

   一方、別の会社の人事部で採用担当を務める30代のBさんは「いまから暗澹(あんたん)たる気持ちになっています」と明かす。

「これ、回答者自身がAIを実際に使っているんですかね。恐ろしさやリスクをちゃんと考えたのではなく『別にいいんじゃない?』と軽く考えていると危ないと思いますよ」

   Bさんが特に恐れているのが、就活生の基本的な力を判断できなくなることだ。

「これまでは志望動機などの文章を書いてもらうことで、基本的な文章力や論理的思考をチェックすることができました。一読して『これはダメだな』という人を見抜くことができたのです。でも今後はAIが書いた文章を読んで『この人は頭がよさそう』と誤った判断をしてしまう可能性が高まりそうです」

   また、面接担当をしていると、自己分析にしても志望動機にしても、どこかの本に書かれていたようなものばかりで耳を傾けるのがとても苦痛だったが、それがAIに代わるだけではないかと危惧している。

「たぶん、みんな考えることは同じで、AIに対策を聞いて準備してくるでしょうね。それでみんな横並びの答えになってしまう可能性がある。それも、結構ハイレベルな答えが並んでくると、誰がどういう適性を持っているかとか判断しにくくなってくる。これまではやってこなかったオフィスでの入社試験をする必要があるかもしれません」
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