プロ野球の元巨人・中田翔内野手(34)の中日移籍が決まった。複数のメディアが2023年12月3日に報じた。課題の攻撃力アップに向けて中田が求められるものとは何か。巨人の元コーチで13年ワールド・ベースボール・クラシック(WBC)でコーチとして中田とともに戦った橋上秀樹氏(57)はJ-CASTニュースの取材に、立浪和義監督(54)と中田のWBCでのエピソードを披露し戦力分析をした。
「100打点も夢ではない」
スポーツ紙の報道によると、2日に中日と初交渉に臨んだ中田は3日、球団に入団する意思を伝えたという。提示された条件は2年契約の年俸3億円程度(金額は推定)で日本ハム時代に着用した背番号「6」が用意されるとみられる。
橋上氏は「中田選手に何も問題がなければ普通に4番を打つと思います。将来の4番候補の右バッターが2人(細川成也、石川昂弥)いますから、彼らを中田選手の前後に置いて挟むか。あとはビシエド選手がどのように起用されるか。ビシエド選手が元気で中田選手とポジションをかぶらないように使えれば打線に厚みができる。中田選手の前を打つバッターが高い出塁率をキープできれば100打点も夢ではない」と分析した。
昨季リーグ最下位に沈んだ中日は、リーグ2位のチーム防御率に対して得点はリーグ唯一の300点台(390点)で得点力不足を露呈。攻撃力アップに向けて今オフ積極的に戦力補強を行い、前巨人・中島宏之内野手(41)、前ソフトバンク上林誠知外野手(28)、前阪神の山本泰寛内野手(30)、板山祐太郎外野手(29)を既に獲得した。
橋上氏は「日本人の補強はこれで終わりだと思います」とし、次なる補強に言及した。
「あとは外国人をどうするかというところ。あれだけ大きな球場が本拠地なので、長距離砲といえる外国人選手がほしい。中田選手も長距離砲だが、バンテリンドームでホームランを30~40本打てるかといえば難しいでしょう。どちらかといえば勝負強さ。得点圏で打点を稼ぐことが求められる役割だと思います。今の状態でホームラン王争いをできるだけバンテリンドームでホームランを打てるかというと難しいので、打点王を争うという役割が求められる」
さらに「過去には打点王を取っていますし、点を取るのが攻撃のうえで1番大切なので確率の悪いホームランよりここ1本のヒットが主軸に求められる。そうすれば得点力は上がる。ホームランを打てる外国人選手で補うことができれば打線としては厚みができる。中田選手に関してはホームランよりは打点というところを立浪監督は求めていると思います。打線はどれだけ打つかというよりもどれだけ点を取れるかというのが大事。中田選手は経験を踏まえて点の取り方を知っている。立浪監督はここを1番期待していると思う」とした。
「山川選手をそのまま追っていたら...」
中田が中日を選択した理由のひとつに13年に開催されたWBCがあると指摘した。橋上氏は戦略コーチとして出場し、立浪監督は打撃コーチ、当時日本ハムの中田は日本代表選手として参加した。
橋上氏は「中田選手が『立浪さんの指導が新鮮だった』と言っていたのを覚えています」と切り出し、当時のエピソードを明かした。
「立浪監督の指導に最初は違和感があったかもしれないが、親身になっていろいろなことを教えてくれる。立浪監督は名球会入りを果たした偉大な選手ですから指導がありがたいと思ったのかもしれません。日本代表選手の所属はバラバラですので、打撃に関しては暗黙の了解でコーチは細かい指導はしませんでした。選手の方から聞いてきた時に関してだけアドバイスする程度でした。ただ立浪監督は自身の使命感からか、ちょっとでもよくしようと中田選手を熱心に指導していました」
スポーツ紙の報道によると、中日は当初フリーエージェントを保有していた中田とともに西武・山川穂高内野手(32)の獲得調査を進めていたという。現時点で山川の去就は不透明だが、獲得調査をしているソフトバンクへの移籍が有力視されている。
橋上氏は「中日の1番の補強を考えると、山川選手か中田選手になる」とし、「中日は一時、山川選手獲得に動いたような感じはありましたけども、金額的には中田選手以上にかかりますしソフトバンクと競争しても難しいということもあり早めの撤退がある意味中田選手に集中できたと思います。山川選手をそのまま追っていたら中田選手にも逃げられた可能性もあるでしょう」との見解を示した。