「『なんて可愛い多毛類なんだ』クシエライソメを見た瞬間、可愛さが全身を強打しました」――2022年11月7日に公開された京都大学の研究成果発表の告知がSNSで注目を集めている。
深海に生息する多毛類「クシエライソメ」(ナナテイソメ科)の生態を伝えるもので、研究者のコメントがツイッターで「愛が溢れすぎる」「熱量がすごい」などと話題になった。
「可愛い、イソメの可愛さを伝えるのに文字数が足りない......」
研究成果は、京都大学フィールド科学教育研究センター(瀬戸臨海実験所)の山守瑠奈助教、人間・環境学研究科の加藤真教授、鳥羽水族館の森滝丈也さんらの研究グループが発表した。クシエライソメは、河川下流域に広がる照葉樹林の落ち葉を巣材や食物として利用することを解明したという。
山守助教は、この研究成果を告知する京大サイトの記事に、以下のコメントを添えた。
「『なんて可愛い多毛類なんだ』クシエライソメを見た瞬間、可愛さが全身を強打しました。小さな手(『疣足』と呼びます。イボと形容される多毛類の小さな足、もうその時点で可愛いですよね?)で落ち葉を掴んで口に運ぶ姿、落ち葉が運ばれる完全無欠の「ω」型の前口葉(口の上部にある組織)。可愛い、イソメの可愛さを伝えるのに文字数が足りない......という感情を心の内に仕舞って、陸上の森と深海の繋がりについて推していきたいと思います」
イソメは、種類によっては釣り餌などに用いられる小さく細長い生き物だ。クシエライソメは、海底に沈んだ落ち葉や枯れ枝を使ってミノムシのような巣を作るという。
このコメントが熱意にあふれているとツイッターで話題になった。
「あまりのオタク構文に笑ってしまいました」
「ここまで愛されるクシエライソメに興味がわく」
「可愛さと喜びが爆発している名コメントだと思います!」
中には、「世の中に科学に興味持ってもらうには、研究者が楽しそうな姿を見せるのが一番」「こんな最高な『研究者のコメント』が出せる研究者に僕はなりたい」と参考にする声もある。
「待って 嘘でしょ」
研究発表が掲載されると、山守助教はツイッターで動揺した様子を見せた。
「待って 嘘でしょ プレスリリースの原稿、一部ちょっとやばいテンションで書いて送ったらそのまま掲載された 待って、待って本気? え? 校閲無いの?」
つい「オタク構文」と呼ばれる勢いのある文書をそのまま送ってしまったのだという。山守助教は、広報委員に落ち度はないとして「怪文書を送った弊社100%の責任ですよ!!」と念押しした。また、この文書が「師匠」に当たるという最終著者(ラストオーサー)に気づかれないことを願っていた。
https://t.co/kJHgAlsiFg
— さらいむ|山守瑠奈|ウニの共生研究者 (@saraim_L) November 7, 2022
深海で落ち葉を紡ぐAnchinothriaのプレスリリースが出ました!
とっても森里海連環学ですね!