車両故障のため稼働できる電車が1編成だけの「限界鉄道」となっていた千葉県銚子市の銚子電鉄(銚子~外川)は、故障が復旧し、2022年2月2日から故障前のダイヤに復帰する。
当初、車両の復旧には相当の時間がかかる見込みだったが、他社の支援を受け約1週間で復旧がかなった。支援に応じたのは車両の古巣である伊予鉄道と、さらにその前の「生まれ故郷」にあたる京王電鉄の車両の保守・改造を担う京王重機整備だった。
京王→伊予鉄→銚子と車両譲渡の縁
銚子電鉄は現在、3編成6両の営業用電車を保有し、うち1編成が3月まで検査中で、残り2編成のうち2000形2002編成に故障が発生したのが1月24日のことだった。翌日から朝の列車4本を運休させ、2000形2001編成の1本のみで残りの列車の運行を維持する自転車操業が続いていた。2002編成の復帰で運休していた列車の運転も再開する。
2002編成の故障について銚子電鉄は当初、「復旧までに相当の時間を要する見込み」とツイッターで説明していた。その1週間後の1月31日、同社はツイッターで車両修理が完了したこと、また伊予鉄道と京王重機整備(京王重機)の支援で修復ができたことを明かした。
銚子電鉄の現役車両は愛媛県松山市を本拠とする伊予鉄道から譲渡されたもので、さらにもとをたどると首都圏の京王電鉄に在籍していた。現2000形は京王電鉄で2010系電車として就役し、伊予鉄道で800系として活躍した後、銚子電鉄に譲渡された。この縁から、伊予鉄道と京王重機の支援で早期復旧が実現した。
伊予鉄道は2月1日、故障に見舞われた銚子電鉄から同社に連絡があり、京王重機とともに技術支援したとJ-CASTニュースの取材に経緯を話した。伊予鉄グループのツイッターアカウントでも銚子電鉄の復旧を伝えるツイートに「遠く離れていても思いは同じ。地域のお客様を支える公共交通として、一緒に頑張っていきたいです」と引用リツイートしている。
「相当の時間がかかる」と見込まれていた2002編成の修理が、支援があったとはいえ1週間で完了したのはなぜか。銚子電鉄にも復旧経緯を取材すると、「交換用の部品が使えるかどうかわからない状態だったので、もし使用不能であれば復旧に長期間かかると見込んでいました。しかし伊予鉄道と京王重機の支援で使える部品が確保でき、安全な復旧が可能になりました」と答えている。