「㍍」(メートル)や「㍿」(株式会社)のように、複数の文字を全角1文字サイズに小さくまとめて記述したものを「組文字」と呼ぶ。国際的な文字コード規格・Unicodeにも多数採用されており、パソコンやスマホなどでも表示が可能だ。
この組文字について、アラビア語にはなんと19文字を1文字のサイズに凝縮したものがある。これがインターネット上で、「神がかった圧縮文字」などと関心を集めている。
「圧縮がすごすぎて」
きっかけとなったのは、あるツイッターユーザーが2021年8月31日、「メートル」や「株式会社」といった日本語の組文字と比較しつつ、中東には「神がかった圧縮文字」があるとして、
「ﷺ」
を紹介したこと。
登場したのはUnicodeにも採用されているアラビア語の組文字。本来の形では「صَلَّى اللهُ عَلَيْهِ وَآلِهِ وَسَلَّمَ」となり、「アッラーが彼とその一族のうえに祈りと平安を与えますように」という意味を持つ。
この組文字を紹介した投稿は3万3000件以上のリツイート、15万件超の「いいね」を集めるなど話題に。ツイッターでは、
「何だか凄い!!」
「圧縮がすごすぎて最早何が何やら...」
「一字に大切な意味を込められるのなんだかとてもいい」
「おもしろいなあ」
といった声が上がっている。
この1文字、どう発音する?
なお話題となっているアラビア語の組文字は、パキスタン放送局・Geo News Urduのウェブ版など報道媒体の記事や、海外ユーザーの個人のツイートでも実際に使われているのが確認できる。
J-CASTニュースは9月1日、中東メディアに詳しい日本エネルギー経済研究所中東研究センター長・保坂修司氏にこの組文字について話を聞いた。
保坂氏によれば、文の発音は「サッラーラーフアライヒワアーリヒワッサラム」。本来のアラビア語は19文字(スペースを除く)だという。イスラム教において預言者ムハンマドの名前が出た時に後ろにつける言葉であり、正確に言えば組文字には「彼の一族」にあたる語が抜けているとも補足した。
こうした組文字が存在する理由については、
「宗教的なテキストでは、神や預言者や教友の名前が頻出してくるので、いちいちテキストとして打ち込むと煩雑になり、逆に読みづらくなるからではないでしょうか」
と説明。アラビア語には、今回話題になったものだけでなく、「アッラー」や「ムハンマド」の組文字や、その後につける別の言い回しをまとめた組文字も存在するという。
日本のインターネット上では、話題となった組文字を面白がるような声も出ていたが、保坂氏は、宗教的な意味を持つ組文字の非教徒による使用に関しては、「変な使いかたをすれば、よくはおもわれないと思います」としていた。