「報復」との見方が薄れていく
ところが、11日に再度取り上げ、「韓国側は、日本の措置は『徴用工』問題をめぐる報復であり、事実上、WTO協定違反に当たるという認識を示した。韓国はWTOへの提訴も検討している」と、韓国の主張として書いただけで、ひたすら輸出管理の問題だとする日本政府の主張に沿い、政府を全面的に支持している。
日韓実務者の12日の「事務的説明会」の報道(13日朝刊)では、朝日が「日本政府は、韓国人元徴用工への損害賠償問題の解決策が6月末までに示されなかったり、輸出管理に関する「不適切な事案があったりし、『信頼関係が著しく損なわれた』などとして......」と、規制発動の背景を説明したが、毎日、日経なども徴用工問題にはほとんど触れていない。問題を「輸出管理」に絞る政府の狙いは、国内向けにはほぼ成功した形だ。
ただ、今後の日韓関係、また世界の中での日本の立場を考えて、今回の措置に疑問を呈する声が、政府に近い人たちからも出ている。
元駐韓国大使で「文在寅という災厄」の著書もある武藤正敏氏は、輸出管理の問題自体で韓国を厳しく批判し、日本政府の対応を評価しつつ、「日本政府は韓国の国民感情をいたずらに刺激しない方が得策である。......日本政府は導入に当たり、文大統領がG20で安倍総理との会談もできずに帰国した2日後に突如公表した。韓国国民はこれを『後ろからいきなり殴られた』と解釈し、日本への国民的反発を強めることが懸念される」(DIAMOND ONLINE、7月12日)と指摘。4日の「日テレNEWS24」に出演した際は、「今のやり方で韓国の国民が『文在寅大統領けしからん。日本ともっとちゃんと対話をしないといけない』という雰囲気になってくれるかどうか。そこは若干、懐疑的に見ている」と、懸念を示している。
「韓国による国際世論の形成には警戒が必要である。日本が反自由貿易主義だと誤解されないよう世界に対する情報発信が欠かせない」。産経も11日の「主張」で、そう戒めている。