東京メトロ社員の男ら2人が女性に乱暴した疑いで逮捕され、「『ナンパ塾』受講生、ウォッカ飲ませ暴行容疑」(読売新聞ネット版)といった報道が相次いだ。
一方、「ナンパ塾」の名称を商標登録し、恋愛の駆け引きなどの座学を行っている都内の会社の公式サイトは、メディアに対し「弊社は無関係」「報道でこの名称(ナンパ塾)を絶対に使わないで下さい」「断固抗議します」と訴えている。メディアの中には、ナンパを教える塾、という趣旨で「ナンパ塾」という表現を見出しに使った社もあるようだが、会社の代表はJ-CASTニュースの取材に対し、「報道で誤解を招き、弊社の実績が台無しになってしまいます」と困惑気味だった。
記事の見出しや本文で「ナンパ塾」表記
警視庁は2018年5月9日、東京メトロ社員の男ら2人を準強制性交の疑いで逮捕したと発表した。各メディアの報道によると、20代の女性モデルにウォッカなどを大量に飲ませて酔わせ、暴行した疑い。男2人はナンパ技術を教えるセミナーの受講生で、暴行現場となった新宿内のマンションの一室は、このセミナー側が管理していたという。
このニュースについては9日、「『ナンパ塾』受講生、ウォッカ飲ませ暴行容疑」(読売新聞)、「東京メトロ社員ら、女性乱暴か ナンパ塾で知り合い」(テレビ朝日)、「酩酊女性に乱暴 容疑で『ナンパ塾』受講生の東京メトロ社員ら2人を逮捕」(産経ニュース、いずれもネット版)などと、「ナンパ塾」を見出しに使った報道も相次いだ。
上記3記事のうち、読売新聞の本文では「『ナンパ師』と呼ばれる男性が開催するセミナー」、テレビ朝日記事本文は「ナンパの技術を教えるというセミナー」という表現だった。見出しの「ナンパ塾」は、固有名詞ではなく、ナンパを教える塾、といった趣旨でつけた表現のようだ。また、産経記事では、「有料で女性の口説き方を教える『ナンパ塾』」と、本文でも「ナンパ塾」という表記を使っていた。
一方、日本テレビ(ネット版)の記事のように、見出し・本文ともに、「ナンパ塾」という表現は使わない(本文で「ナンパの方法を教える塾」)メディアもあった。
こうした報道を受け、「報道関係者・マスコミ各位」と題した文書をサイト上で公表し、「弊社は無関係です」と訴えたのは、「ナンパ塾」の名称を商標登録し、ナンパに関する有料座学を行っている「共同企画デタント」(東京都中央区)だ。
「テレビで報じられた場合はBPOに申し立てます」
同社代表で「ナンパ塾」主宰でもある草加大介氏の名前で、各種報道について、
「弊社は無関係です。弊社では新宿区内にマンション等は借りてません、と非常に憤っています」
「『ナンパ塾』は弊社の登録商標です。ゆえに、報道でこの名称を絶対に使わないで下さい」
と注文をつけた。さらに、
「断固抗議します。テレビで報じられた場合は絶対にBPOに申し立てますので、繰り返しますが、名称の使用を避けて下さい」
と、強く不使用を訴えた。「すぐに弁護士と打ち合わせます」とも書いている。
J-CASTニュース編集部が9日、草加代表に電話で話を聞くと、今回逮捕された2容疑者は「うちの受講生ではない」と断言、「ナンパ塾」の名称は2008年に商標登録したと説明した。
ナンパの技術を教えるというセミナーや塾は他にもあるが、「ナンパ塾」でネット検索すると、同社のサイトが最上部に表記される。こうしたこともあり、「ナンパ塾」を見出しなどに使った報道の影響で誤解を受けることを懸念している。商標登録は2008年だが、創業は20年になるといい、「これまでの努力と実績が台無しになり兼ねない」と、今回の報道に危機感を持っている。
また、ナンパ技術を教えるというセミナーや塾の中には悪質な業者がいるのも事実、と指摘し、今回の事件について「ナンパのイメージが悪くなる。こんな事は本当にやめてほしい」と嘆いていた。