森友学園への国有地売却を担当し、自殺した財務省近畿財務局職員の遺族が、当時の同省理財局長だった佐川宣寿氏の国会証人喚問は「意味がなかった」と失望感を隠さなかった。
佐川氏は喚問で、亡くなった職員について「心よりご冥福を祈りたい」と悼んだが、2018年3月28日放送の「とくダネ」(フジテレビ系)で取材に応じた遺族らは、「取ってつけたような感じがします」と力なく語った。
「結局何もわからないまま」
27日に行われた佐川氏の証人喚問をみた遺族の一人(Aさん)は、「緊迫感がない。ただの馴れ合いでやっているだけです」、もう一人(Bさん)は「はぐらかして終わり。どう改ざんしたのか、昭恵夫人とか、本当に事実を知りたかったですね」「あんまり意味がなかった、それが一番ですかね。残念です。結局何もわからないまま、野党もあまり追及しないまま、終わったような感じです」とそれぞれ番組に話した。
喚問で、亡くなった職員について言及したのは竹内譲・衆院議員(公明党)。「3月7日に近畿財務局の職員が自殺されています。3月15日にはNHKが全国ニュースで遺書の内容を報じています。『決裁調書の部分が詳しすぎる』と言われ、『上司に書き直させられた。勝手にやったのではなく、財務省からの指示があった』『このままでは自分1人の責任にされてしまう』などの文言が並んでいたとNHKが報じています。この報道をどのように感じていますか」と質問した。
佐川氏は「財務局の職員が亡くなられた話は、私が国税庁長官を辞任いたしました9日金曜日にニュースで知りました。大変残念でございまして、本当に心よりご冥福を祈りたいと思っております」と悼んだが、続けて
「ただ、NHKの報道でございますが、亡くなられた方の遺書というお話でございますれば、私はその方が亡くなられた経緯等々については一切承知しておりませんので、その点につきまして何か申し述べることはできないということでございますので、ご理解賜りたいと思います」
と述べた。
「とくダネ」では、「ご冥福を...」と述べた佐川氏について、遺族のAさんが「弁護士にいえと言われたのでは」と、どこか呆れたように話した。Bさんは
「本当にそう思っているなら、どうして本当のことを言えないのかな。本当に亡くなった人のことを思って発言してほしかったですね」
と無念さをにじませた。