東京都内の新宿御苑で、男性職員(71)が3年近くも多くの外国人から入園料を取っていなかったことが分かった。ネット上では、「なぜ気づかなかったのか」などと公園を管理する環境省に批判が出ている。
新宿御苑は、日本庭園などが海外にも知られ、今では、年間200万人ぐらいの入園者の半数ほどが外国人になっている。
16万件の入場を取り消し
男性職員は、環境省を退職後に非常勤として管理事務所の窓口で働いており、2014年4月から16年12月まで外国人をタダで入園させる行為を繰り返していた。こうした事実関係は、環境省幹部が17年1月20日に会見して発表した。
それによると、職員は、英語などが苦手で、外国人に複数回、窓口で怒鳴られたことがトラウマになった。入園料を支払う素振りをみせない外国人に対しては、入園券を渡しても料金は取らず、その後にデータ上から入園を取り消してつじつまを合わせていた。
入園料は、大人200円、小中学生50円。職員が取り消したケースは、16万件にも上り、大人だけの単純計算だと3200万円も国に損害を与えていたことになる。ただ、販売されずに余った入園券も取り消していたため、正確な被害額は分かっていない。事実関係は、別の職員が取り消しの多いことに気付いて分かった。
環境省では、問題の職員を20日付で10分の1の減給1か月の懲戒処分にした。職員は、この日に依願退職し、退職金の半分30万円ほどを自主返納する意向を示している。入園料を着服したことは否定しているという。職員の上司2人についても、厳重注意処分にした。
発表が報じられると、ネット掲示板などでは、「ことなかれ主義が蔓延した結果やな」などと批判の声が上がり、「気づかない同僚も上司もおかしくないですか?」との疑問も出た。