韓国・釜山の日本総領事館前の路上に市民団体が従軍慰安婦をモチーフにした少女像を設置した問題で、撤去に否定的が韓国世論では圧倒的だ。だが、在日本大韓民国民団(民団)は2017年1月12日に都内のホテルで開いた新年会で、呉公太(オ・ゴンテ)団長が、像は撤去すべきだとの考えを表明。15年末の慰安婦をめぐる日韓合意についても着実な履行を訴えた。
民団はこういった考えを韓国政府にも申し入れる方針だが、すでに「議論を呼びそう」と報じるメディアもあり、韓国国内世論の反発を受けることは必至だ。
「撤去が同胞の切実な思い」と韓国世論の落差
日韓の複数のメディアによると、呉団長はあいさつの中で、釜山の慰安婦像について
「撤去すべきだというのが、100万在日同胞の共通した切実な思いだ」
と述べ、15年末の日韓合意を
「両国政府が苦悩の末、選択した結果で、両国関係の発展のための英断」
と高く評価。
「今こそ日韓の合意が誠実な態度で履行されなければ、この問題は永遠に解決されない」
「合意が履行されずに再び両国関係が冷え込んだら、私たちの同胞は、どうなるだろう。また息を殺して生きなければならないのか」
などと確実な履行を訴えた。
「(韓国)国民の冷静かつ賢明な判断と、日本政府の冷静な対処を望むだけだ」
とも述べた。
15年12月28日の日韓合意では、日本政府が元慰安婦の女性を支援する財団設立のために約10億円を拠出することを前提に、慰安婦問題が「最終的かつ不可逆的に解決されることを確認する」としていた。ソウルの日本大使館前の慰安婦像についても、日本側が「公館の安寧・威厳の維持の観点から懸念していることを(韓国政府が)認知」し、「適切に解決されるよう努力する」。この部分を根拠に日本側は釜山の慰安婦像についても撤去を求めている。