大阪・西成区には、身元不明遺体の保管所がある――。葬儀場を展開する「公益社」が運営する施設で、火葬する遺体を取り違えるミスが起きていたというニュースが、ネット上で意外な注目を集めている。
ネットユーザーが強く関心を寄せる対象は、遺体取り違えのミスそのものよりも、身元不明の遺体を「常時50~60体、最長で数か月間」保管している施設の存在の方だ。こうした施設は、全国的に存在するものなのだろうか。それとも、西成区に特有のものなのか。
遺体は「受け入れ日時」や「番号」で管理
葬儀業最大手の燦(さん)ホールディングス(HD)は2016年3月10日、子会社の「公益社」が運営する大阪・西成区の「ステラ事業所」で、火葬する遺体を間違えるミスが14~15年にかけて2件起きていたと発表した。うち1件では、別人と取り違えて火葬された遺骨が、自治体を経由して全く別の遺族へ渡されていた。
発表によると、15年7月に遺体を火葬場へ搬送する際、本来なら6月15日に引き受けた遺体を出棺するはずだったが、誤って19日搬入の遺体を出棺。遺体は誤ったまま火葬され、遺族には別人の遺骨が渡された。社員らはミスに気がついたが、事態を隠蔽するため、15日の遺体を19日のものと偽って火葬場へ搬送したという。
その後、関係者から事情を打ち明けられた遺骨を受け取った遺族が、16年1月に同社へ問い合わせて事故が発覚した。指摘を受けて燦HDが実施した社内調査で、2014年にも同様の事案が1件見つかったという。
こうしたニュースに対し、ツイッターやネット掲示板などでは「ありえない」「ふざけた会社」と呆れるような声が上がった。だが、それ以上にネットユーザーの注目を集めたのは、「身元不明遺体を管理する専門施設」そのものだ。実際、ネット掲示板を見ると、「死体預かり業なんてのがあるんだ」「いったいどんな施設だよ」といった投稿が数多く見つかる。
燦HDの経営企画部はJ-CASTニュースの16年3月11日の取材に対し、施設の概要について、
「事業所は大阪府警と契約しておりますので、大阪各地の警察から引き受けた身元不明の遺体を常時50~60体、多いときは100体以上保管します。それだけの数を収容するため、かなり広い部屋全体を保冷庫にして、棺に入れたままの状態で管理しております」
と説明した。引き受けた遺体は、受け入れ日時と警察の署名や番号で管理していたという。