「第2のショック」は免れた
住商は資源開発で後発組だ。2000年代に入り、資源で先行する三井物産、三菱商事に追いつこうと、投資を積極化させてきた。中国など新興国の経済成長に合わせ、資源価格も高騰し、巨額の利益を生み出した時期もあった。ところが世界経済の減速と歩調を合わせるかのように、資源価格も急落。これまでの巨額投資が重荷となり、採算割れの事業が相次いだ。
他の商社も一様に資源からみで損失計上を余儀なくされている。例えば丸紅は北海油田事業で600億円、米シェール関連などで350億円など、資源関連だけで1000億円超の損失を計上。それでも1100億円の純利益を確保する見込みだ。三井物産や三菱商事も資源で苦戦する構図は変わらないが、それぞれ3200億円、4000億円の純利益を上げる見通し。資源分野での蓄積の差が出た格好だ。
資源分野で大やけどを負った住商は、当面、進行中の案件で利益を上げることを優先し、新規投資を抑制する方針。市況分析や技術評価力を高めるため、専門組織を立ち上げ、リスク管理を強化する。外部人材も積極的に登用する考えだ。
「損失計上を見込むビジネス以外は概ね堅調」との認識で、2016年3月期は純利益2300億円と「V字回復」を計画。資源・エネルギー価格が足元の水準で推移するとしても、2018年3月期には3000億円の純利益が達成可能とみる。
赤字見通しを発表した翌日の株価は、0.5%の下落にとどまり、「第2のショック」にはならなかった。ただ、マダガスカルのニッケル事業やチリの銅事業など現在進行中の大型案件も、決して安泰とは言えない。さらなる損失リスクがくすぶる中、計画通り収益を上げられるのかが問われることになる。