大消費国の日本が「漁獲半減」を提案
ところが今年春、WCPFCが調査を委託した海洋学者らのグループが、10年以内に資源が回復する唯一の選択肢として「漁獲半減しかない」とのリポートを発表し、議論は仕切り直しに。日本人はマグロが好きで、太平洋で取れるクロマグロの大部分を消費しているだけに、真っ青になるところだが、実は、日本が8月に「漁獲半減」を提案し、今回の決定に導いた。これにより、2024年には太平洋の成魚の資源量は4.3万トンに回復すると見込んでいる。
今回の合意に沿って、日本の未成魚の漁獲量として、水産庁は既に4007トンの上限を設定。大きな網で魚群を追い込む「巻き網漁業」2000トンと、定置網や一本釣りなどの「沿岸漁業」2007トンに割り振り、うち沿岸漁業分は6海域に分け、それぞれに上限を設定し、超えないように監視する。具体的には、海域ごとに、上限の70%に達したら「注意報」、80%で「警報」、90%で「特別警報」、95%になったら漁業者に「操業自粛要請」を出す。もし上限を超えれば、その分を翌年の漁獲上限から減らすという徹底した管理を実施するという。
最大の消費国である日本が厳しい規制を主張したのは、「そうしなければ本当に資源が枯渇してしまう」(漁業関係者)という危機感が根底にある。東大西洋で、未成魚の漁獲を原則禁止して資源回復につなげた成果があるほか、太平洋クロマグロは絶滅危惧種に指定される恐れがあることも、日本の行動を後押しした。