東証トラブルは「システム過信」 「人為ミス」が傷口広げる

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東証社員が24時間常駐体制に

   しかし、実は診断結果は「切り替わっていない」ことを示していた。富士通担当者が表示を誤認していたのだった。この時点で切り替わっていないことを把握し、手動で予備機に切り替えていれば、通常とおり売買を行うことも可能だった。

   東証は2日、診断結果は「予備機に切り替わったと示していた」と説明していたが、調査した結果、「誤認」が判明した。ただ、確認する責任は東証にあるとして、富士通に損害賠償請求はしない。

   トラブルが解消されていないことを確認したのは、アラームから6時間もたった午前7時38分。午前9時の取引開始は目前に迫っていた。

   東証は過去のシステムトラブルの反省を踏まえ、NTTグループ出身の鈴木義伯氏を専務兼最高情報責任者(CIO)に招いているが、この午前7時38分の時点でもCIOに連絡が取れず、8時の出社を待たねばならなかった。取引開始までに予備機に手動で切り替え、稼働テストなどをこなす余裕もなく、8時40分に売買停止を決定した。

   東証は再発防止策として、東証社員がコンピューターセンターに24時間常駐して、深夜・早朝の故障確認体制を強化する。これとは別途、早朝(午前7時)の勤務態勢を強化するほか、「業務に支障が出る可能性がある」段階でCIOに連絡をとることとする。

   大証と経営統合し2013年1月の「日本取引所グループ」の誕生を控える大事な時期に、「システムの信頼性への過信」(東証の発表文)が生んだ売買停止。世界のマネーを呼び込み、国際競争力を高めるには、リスク管理の強化で地道に信頼を取り戻すほかない。

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