格安航空会社(LCC)が躍進を続けるなか、スカイマークが新規就航させたばかりの路線で、トラブルが起こっていたことがわかった。通常、機材トラブルなどの航空会社が原因で欠航する場合、払い戻したり、他の航空会社や鉄道などに振り替えたりという対応が一般的だが、この路線は振り替えの対象外。さらに、この欠航の理由が、パイロットのミスというお粗末なものだった。
就航から1週間で欠航便
問題が指摘されているのは、成田発新千歳行きのスカイマーク877便。この路線は10月30日に就航したばかりで、最も安い運賃に980円という破格の運賃を設定したことで話題になった。
だが、就航からわずか1週間がたった11月5日の877便は欠航になってしまった。このときの対応に不満が集まっている。
スカイマークのウェブサイトには、機材故障など同社の都合で飛行機の運航が出来なくなった際の対応のひとつとして、「スカイマークが選択する当社便、他社便、またはその他輸送機関への振替」とある。ここまでは、日本航空(JAL)や全日空(ANA)が掲げている方針と同じだ。だが、今回欠航になった成田便については「但し、成田発着便は他社便、その他輸送機関への振替はいたしません」と、例外規定が設けてある。実際にこの規定が適用されることになってしまった形だ。
具体的には、スカイマークの成田ーー新千歳便は1日1往復しかないため、同社便に振り替えるにしても翌日以降。同社の割引運賃でチケットを購入したが「時間に余裕がない」という乗客は、一度チケットを払い戻した上で、JALやANAのチケットを買い直さざるを得なかった。
誘導灯の電源ケーブルに乗り上げる
スカイマークの広報担当では、この規定が出来た理由については「既存の乗り入れ空港とは運用の方法が違うため」と説明。「運用」とは、チェックインから搭乗するまでの一連の流れを指すのだという。さらに、当面、この条項が変わる予定はないという。
また、スカイマークでは、欠航の理由を「機材点検」とのみ説明していたが、この「点検」に至るまでが、実にお粗末なものだった。
国土交通省の航空事業安全室によると、877便はゲートを出発後、誘導路から滑走路に移動する途中で進路を間違え、誘導灯の電源ケーブルに乗り上げた。この影響で、タイヤがこすれたため、点検のためにゲートまで引き返したという。
つまり、乗客からすれば「一度出発したにもかかわらず、パイロットのミスが原因で飛行機から降ろされて欠航になった」という形で、この点も乗客の不満を増幅させたとみられる。