家計の負担増は年間7563円に上る?
しかし、自動車や家電メーカーの実情も厳しい。若者は自動車より携帯電話などに金をかける傾向が強まっているうえ、国内の景気悪化の影響などで、自動車の国内需要は低迷している。大手自動車メーカーは「こんな環境の中で、消費者に自動車価格の値上げを求めたら、さらに車離れを招きかねず、自分たちの首をしめてしまう。鋼材価格の大幅な値上げなど簡単に受け入れられる環境ではない」と口をそろえる。商品の価格競争が激化している家電メーカーにとっても、苦しい事情は同じで、鋼材価格の値上げは簡単には飲めないのが実態だ。
仮に、自動車や家電などの最終商品への価格転嫁が進めば、一般家庭への影響も大きい。鉄鉱石と原料炭の値上げ分の半分が商品価格に転嫁された場合、家計の負担増は年間7563円に上るといった試算も出ており、消費への深刻な影響から、踊り場にあるといわれる景気への打撃になるとの懸念も強まっている。