1日(2023年8月)の「めざまし8」は、2022年に大洪水に見舞われ、国土の3分の1が水没したパキスタンの現状を伝えた。倉田大誠キャスターが現地で取材した。
「こちらが今回撮影してきたドローンの映像です」(倉田キャスター)と、画面に映されたのは、1年たっても水浸しになったままの土地。2022年6月~9月の大洪水では1700人以上が死亡し、3300万人以上が被災した。
立岩陽一郎「目を背けちゃいけない」
倉田キャスターは人口715人のバローチ・ザルダリ村を訪れた。メディアの取材は災害直後だけ、国の視察もないという「忘れられた被災地」だ。
洪水の水で真っ2つに分断されたその村で出会ったのは、アリさん一家。家が半壊し、1年かけて直したものの、持っていた畑を失い、収入はほとんどない。父親は日雇いで労働し、6人家族を支えている。大洪水の1週間後に生まれた子どもは、路上生活中に病気にかかって亡くなってしまったそうだ。
食糧が底をつき、市場に出向いたアリさん。お金が足りず、ツケで塩、油、レンズマメを購入。目当ての主食の小麦粉はなかった。今、パキスタンは記録的インフレの真っ只中で、店も仕入れることができないという。
アリさんの妻は「支払いが遅れたら、もうツケはできない。本当はそんなことしない方がいい」と涙をぬぐった。
倉田キャスターはアリさん一家を取材後、「なんにもできないよね。どうしたらいいんだろうね。こんなに温暖化とか言っているのに...。変えられるのかな?って思っちゃう」と涙を流しながら独りごちた。
その後訪れた村でも、洪水がもたらした悲劇を目の当たりに。溜まった水で遊んでいたことが原因で、脚を切断した10代の男の子を取材中に倉田キャスターは泣き崩れた。
倉田キャスターはスタジオで「大きな爪痕を残したこの大洪水。取り返しがつかない爪痕だと思います。だからこそ、自分は何ができるのか、何と向かい合っていくのか、考える必要があるなと深く感じました」と訴えた。
司会の谷原章介「気候変動を引き起こしている二酸化炭素というのは間違いなく先進国が1番排出してきているわけで。結果こういう洪水だとか、世界中に大きな影響を与えている。映像を見て、僕たちの想像を超える現実と、何もすることができないという無力感に打ちひしがれます」
立岩陽一郎(ジャーナリスト)「今のリポートを見続けた人には希望があると思う。目を背けちゃいけない。倉田さんが見てきた現実を我々も受け止めて、なんとかすることを考えないと」
(ピノコ)