「24時間テレビ」に見る、地上波テレビが生き残る道

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   このコラムにたびたび登場している高橋利之君は、現在、日本テレビ執行役員コンテンツ制作局専門局長です。彼の担当する番組は、レギュラーでは「行列のできる相談所」(総合演出)、「世界一受けたい授業」(プロデューサー)、特番では「THE DANNCE DAY」(総合演出、この番組は以前このコラムで紹介しました)、そのほか多数の番組を手がけています。

   高橋君との出会いは、2005年8月の「24時間テレビ28」を彼が総合演出として初めて担当することになったときでした。私は編成局長でした。その少し前、私が制作センター長のときに、彼が突然、私(「24時間テレビ28」の制作責任者)のデスクに来て、ある写真を私に見せました。

   それは、第二次世界大戦で、空襲で死んだ兄弟の1人を、背中のかごに背負って焼きにいく少年の姿を撮影したものでした。高橋君は、「これをやりたいんです」と言いました。私はその写真を見て、平和を希求するものだと思い、その場ですぐに快諾しました。

  • 今年は8月26、27日放送
    今年は8月26、27日放送
  • 今年は8月26、27日放送

ほかではやらないことを見せる24時間生放送の極意

   「24時間テレビ」は、以前このコラムで紹介しましたが、1992年に私、同期の小杉善信、ハウフルスの菅原正豊と、そしてその少し後に、同じ日本テレビの五味一男とともにリニューアルしました。その際に考えたコンセプトは大きく2点です。(1)24時間を通して1本の生放送であること(2)1年に1回はチャリティーというものを自然な形で考えてみようというものでした。

   高橋君が私に見せた写真は「チャリティーというものを、自然な形で考えてみよう」というコンセプトに合うと思えました。そのうえで、エンターテインメント(実はチャリティーと合う)の要素を付け加えれば良いと考えたのです。高橋君も同じ考えだと思いました。

   「24時間テレビ28」の結果は、平均視聴率19%という、歴代最高の高視聴率でした。「24時間テレビ」は現在も引き続き放送されていますが、高橋君をはじめいろいろな人たちの努力によるものです。

   以前にも何度かこのコラムで申し上げてきたことですが、地上波テレビが生き残る道は(1)生放送であること(2)他人がやらないことをやる。この2つだと思います。「24時間テレビ」はまさにこの2つを満たしているのです。この夏も、8月26日から27日の2日間、生放送されます。未来志向の24時間テレビになるとのこと、期待しています。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。
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