「テレビの今後と私たち」の講演で、改めて地上波テレビの難局を思う

   この6月末(2023年)、「かわさき市民アカデミー」で「テレビの今後と私たち」をテーマに、90分の講演を行いました。認定NPO法人「かわさき市民アカデミー」は、生涯学習講座の中に、時代の先を見据えた講師陣による講座も提供しています。

   私が客員教授をしている「iU情報経営イノベーション専門職大学」でも、テレビにまつわる講義やスタジオ見学などを行っていることは、本コラムで紹介してきました。今回の「かわさき市民アカデミー」でも、iUの講義に同行した学習院大学に通う小須田宙士君が一緒でした。

   私の講義はいろいろありますが、「スーパーJOCKEY」の「熱湯コマーシャル」のかつての映像を見せること。そして、本コラムで何回か述べてきた「TVが生き残る道」のポイント、「生放送」と「他人がやらないことをやる」について、詳しく解説しています。

   「他人がやらないことをやる」。これは日本テレビの先輩、井原高忠と細野邦彦から教わったものです。受講生は30~40人で中高年齢層の方がほとんどでした。

  • テレビにとって大変な時代
    テレビにとって大変な時代
  • テレビにとって大変な時代

「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」で大盛り上がり

   質疑応答タイムでは、テレビの決算の実情が厳しい、「生放送」は重要だが、現実には録画して見るケースが増えている、ABEMAが昨年のFIFAワールドカップの生放送で勢いが良かったことに関する質問が優れていました。

   質問者の1人が井原さんのことに触れたため、制作局次長、第一制作局長時代の井原を知っていた私の経験から、いろいろな話をしました。これは私が日本テレビに入る前のことですが、井原が手がけた「巨泉×前武ゲバゲバ90分!」などの話をしたところ、大変盛り上がりました。

   講義が終わって帰途につくとき、小須田君が「かわさき市民アカデミーは年齢層の違いもあって、iUとは質問の内容も全然違いますね」と言い、私も同感でした。地上波テレビが若い層にはあまり見られなくなっているとしても、まだ幅広い層に見られていると実感でき、意義深いものがありました。

   いずれにしても、地上波テレビの大変な難局を乗り切るには、並大抵のことではうまくいかないと、改めて思いました。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。
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