ウクライナ人のNHKディレクター、ノヴィツカ・カテリーナさんが28日(2023年6月放送)の「あさイチ」に出演して、戦争が続くウクライナの人びとのリアルを伝え、「ウクライナのことを忘れないで」と訴えた。
カテリーナさんは、ウクライナで暮らす友人たちに話を聞いた。オリガさん(4歳児の母親でキーウ在住)、オーリャさん(戦禍を逃れて夫とともに西に移動中)、アンナさん(侵攻開始後に日本からウクライナに帰国しキーウ近郊の村在住)の3人だ。
「抵抗を続ける政府を迷いなく支持していますか」という質問に、オーリャさんは「たとえば、もしアパートの隣人がある日突然ドアを蹴破ってあなたの部屋に入ってきて、『ここは私の部屋だ』って言い出したら? そしてあなたの冷蔵庫の中のものを全部食べ、あなたの妻をレイプし、あなたの子どもを奪ったら? 『どうぞどうぞ』ってわけにはいかないでしょ。私たちの家、私たちの国、私たちの歴史を諦めるわけにはいかない」と語っている。
アンナさんは「抵抗する道を選んだのは、政府じゃなくて私たち自身。ロシアは私たちの文化やアイデンティティまで否定しています。こんな仕打ちは不条理過ぎる。だから私たちは戦っているんです」と答えた。
戦争が終わってもロシア国民を許せない
3人の怒りの矛先はロシア国民にも向いている。オーリャさんは、多くの外国メディアが「これはプーチンの戦争だ」と伝えていることに憤りを感じるという。「ロシア人は戦場に行くことを余儀なくされたとしても、そこで女性を襲ったり民家を銃撃したり、SNSに嬉しそうなコメントを書くことは、誰かに強いられているわけではない」
カテリーナさんが「戦争が終わったら、またロシア人と会話できる?」という質問をぶつけると、オリガさんは「いいえ。どうコミュニケーションを取ればいいの。私たちの世代も、私たちの子どもの世代も100%無理だと思う」と答えた。
カテリーナ「友人たちが言っていたことは日本の皆さんにはキツく聞こえたかもしれませんが、その背景には長い歴史があります。その中で、何度もウクライナ人としての尊厳を踏みにじられてきて、今もロシアは私たちのアイデンティティを否定しようとしています。それは言葉にできないほど痛いんです。物理的な攻撃だけじゃなく、そこが辛い」
視聴者からたくさんの質問が寄せられたことについて、カテリーナさんは「とても嬉しかった。中には答えるのが辛い質問もあったけど、関心を持っていることを示しているから」と話した。
(ピノコ)