「AIの規制に世界が注目する中、EU議会が先行し、規制案を採択しました。この規制が世界に、そして日本にも広がってくるのでしょうか」と20日(2023年6月)の「めざまし8」でMCの谷原章介が切り出した。
規制案の内容は、AIの顔識別技術への規制、AIによる生成物には「AI生成」と明示することの義務化、著作権で保護されたデータを利用した場合に学習データを開示することの義務化など。
専門家「日本の『規制をしない』という考え方に疑問」
倉田大誠アナはEUが厳しくAIと向き合っている背景の1つとして、ベルギー紙「ラ・リーブル」が3月28日に配信した「チャットボットとの会話がなければ夫はまだ生きていた」という見出しの記事を紹介した。
「実際に起きたお話です。30代の夫は地球温暖化の不安からふさぎ込みがちになってしまった。家族との距離もできてしまったそうです。彼の心を埋めた存在がまさにチャットボット、AIでした。会話を繰り返していくうちに依存して、後にこの夫は自殺します。残された妻が履歴を調べると、AIに自殺を勧められていたということが分かった。『地球温暖化の原因は人間だから、地球を守るためには自分を犠牲にしても...』というやりとりがあったそうです」
谷原「AIに勧められて夫が自殺したなんて、残された家族としてはやりきれないですね」
鈴木円香(起業家)「妻としてはやりきれないと思います。AIには欠点もいっぱいあるのに、今みんなそれが分かっていなくて、人間より優れたもの、完全なものみたいな先入観がある。それによって依存状態になってしまったのかな」
国立情報学研究所の佐藤一郎教授は、EUの規制強化の背景には「アメリカや中国というAI分野で先行している大国がEU市場に参入してきていることへの警戒もある」と話す。
日本はどうすべきなのか。佐藤氏はこう指摘した。
「日本の場合、『規制をかけるとイノベーションが進まない』という考え方もあるが、一方で、規制がイノベーションを生み出すということもある。例えば、日本の自動車会社は1970年代後半に、アメリカの厳しい排ガス規制に準拠した車を出すことによって地位を高めた。今後アメリカも規制を強めると思うが、その規制に対応したイノベーション、サービスを作った国が世界の市場を取るということになるので、日本の『規制をしない』という考え方で、『競争力を長期的に保てるのかどうか』というところでは疑問がある」
(ピノコ)