ジャニー喜多川・前社長の「性加害」問題をめぐり、ジャニーズ事務所が設置した「再発防止特別チーム」が昨日12日(2023年6月)、会見した。民放テレビはジャニーズ問題を積極的に取り上げてこなかった、との批判もあるなか、きょう13日の「ZIP」は、「特別チーム」の会見などを伝えた。
現役タレントには「心理的な負担を考慮して、網羅的な調査はしない」
「特別チーム」の林眞琴座長(弁護士・前検事総長)は12日午後1時過ぎの会見で、「私たちチームは、過去の加害行為の存在を前提として、ジャニーズ事務所の過去の対応にどのような問題があったか、これを厳正に検証する」。チームは、精神科医の飛鳥井望氏や臨床心理の研究者らで構成する。
ジャニーズ事務所は先(5)月14日、藤島ジュリー景子・社長が「深く深くお詫び申し上げます」と謝罪する動画を公開。相談窓口の開設など「対応策」を発表した。「特別チーム」は、「性加害があった」ことを前提に「現役幹部やその周辺に対するヒヤリングは必須」とした。ただ、性加害について藤島社長が「知らなかった」としていることについて、林座長は、「(仮に)事務所側が認めなかったとしても、そのことによって私たちの事実認定が左右されるものではない。再発防止策をまとめて、事務所側に提言いたします」。
さらに、会見では「申告をしていないタレントの中にも、被害者がいる可能性がるが、どれくらいの規模で調査をするか」との質問が出たが、林座長は、「現在被害を自主的に申告されておられる方で、ご協力がいただける場合には、その方の心理的な負担を十分に考慮したうえで、お話をぜひ聞かせていただきたい」。現役タレントや所属経験がある人には、「心理的な負担を考慮して、網羅的な調査はしない」とした。飛鳥井氏は「網羅的調査は、いろいろ被害者の方にとって負担だろう。賛成できない立場は変わりません」。
こうした会見について、性被害を訴えている元ジャニーズJr.の二本樹顕理さん(39)は「性加害の事実があったという前提で調査を進めていく、というコメントは、前向きにとらえることができた」としたが「網羅的な調査はしない」との方針については、「対象者のプライバシーは非常に重要な部分だが、規模を小さくされてしまう、との懸念はあります」。
特別チームは、スケジュールは未定だが、最終的な検証結果と再発防止策の提言を公表する方針だ。
ZIPが、会見のやりとりなどを比較的客観的に伝えたのに対し、朝日新聞の13日朝刊は、「ジャニー氏性被害 遠い解明」「外部専門家 被害掘り起こさない方針」と踏み込んだ見出しで伝え、ジャーナリストの松谷創一郎さんの談話として「特別チームは、被害の全容解明に消極的な事務所側が設置したもの」と伝えている。
(栄)