司会の羽鳥慎一がタクシー待ちの客が長い行列を作っている京都駅の映像を見ながら「京都駅前で長いタクシー待ちの行列ができている一方で、タクシー会社の車庫にはドライバー不足で稼働できない50台以上の車両が置かれたままになっています。今、タクシー業界ではドライバー不足が深刻化しています」と伝えた。7日(2023年6月)のモーニングショー。
京都駅前ばかりではなく、各地で同様の現象は起きている。アフターコロナで外国人観光客が急増し、タクシー需要は回復している一方で、ドライバー不足は解消されていないという。
車庫には車両があるが...
5月の週末の夜、渋谷駅のタクシー乗り場には長蛇の列ができていた。その数、100人超。中には、並ぶことを諦めて、歩いて帰る決断をした男性もいた。タクシー乗り場から離れて、多くの車が行き買う大通りに出ても、流しているタクシーはほとんど捕まらない。女性2人組は「30分以上手を挙げているが捕まらない」と嘆いていた。
京都のタクシー会社・都タクシーの配車センターは電話が鳴りっぱなし。しかし、空車がなく配車できないパターンも増えているという。1日約2000件の配車依頼があるが、そのうち400件ほどに対応ができてないのが現状だという。だが、その都タクシーの車庫には50台以上の車両が置かれたまま。ドライバー不足なのだ。都タクシーの社長は「人さえ採用できれば、この事態は解消できる」と言うが、コロナ禍に400人いたドライバーは今、300人に減ってしまっている。運賃アップ分を全部賃金に回してもドライバーは集まらないと話した。
この状況は都内でも同じ。浅草や秋葉原で外国人観光客が「全然タクシーが捕まらない」と困った顔で話していた。また「せっかく捕まえたタクシーも、英語が通じなくて別の場所に連れていかれた」と訴える観光客もいた。
この2つの課題解決に踏み出したのが日の丸交通。外国人ドライバーの採用だ。現在、27カ国70人の外国人ドライバーがハンドルを握っているという。ガーナ人のハッサンさんは12月からドライバーを始めた。日本在住16年で日本語はペラペラ。乗車したメキシコ人客とサッカーの話をしたりしながら接客し、この日は3組の外国人客を乗せた。「仕事が楽しい」とハッサンさんは言う。
訪日外国人客はこの4月、コロナ前の7割まで回復している。しかしタクシードライバーは減少しており、東京では2020年3月に5万8257人だったドライバーは、今年3月には約17%減の4万8515人(東京タクシーセンター)、京都市周辺では2019年12月に8080人だったドライバーが2022年12月には約23%減の6244人(京都府タクシー協会)。
羽鳥は「コロナの影響もあって、一度離れてしまったドライバーの方がなかなか戻って来ていない状況ですね」とコメント。
ジャーナリストの浜田敬子は「流しているタクシーが捕まりにくいのでアプリを使うことが多いのですが、それでもなかなか来てくれないことが多い。地方はもっと深刻で、配車してもらえず、30分くらい歩いて戻ったことがある。離職したドライバーはすでに別の仕事をしていると思うので、ドライバー不足はすぐには解消できないと思う」と話す。
起業家の安部敏樹は「タクシードライバーの不足は経済活動の観点では、大きな機会の損失になっている。観光でいろんなところを回れば回るだけお金を落としてくれるわけですから。どこかでライドシェアの議論をするべき時期になったと思う。タクシードライバーは資格が必要なぶん、飲食業よりも人の戻りは遅いわけで、例えば金曜の雨の日に限ってはライドシェアを可能にするとか、2種免許の資格がない人でも参入できる仕組みを議論していくべき」と話す。
テレビ朝日の玉川徹は「タクシーだけじゃなくバスもドライバー不足は深刻。タクシーと同じくコロナで離職して今も戻っていない」と指摘。
羽鳥は「何とか戻ってきて頂ければいいですが、簡単ではなさそうです」とまとめた。
(バルバス)