司会の羽鳥慎一が「実質無料で歯科矯正が受けられるとうたいながら、実際には高額な費用を負担させられたとして、患者らが歯科クリニックの運営会社などを集団提訴しました。原告は300人を超えています。多くの患者がローンを組んで治療費を捻出していました」と伝えた。7日(2023年6月)のモーニングショー。
モニター報酬の支払いを約束し...
その歯科クリニックのキャッチフレーズは「日本一美しい口元を演出」、うたい文句は「歯の矯正、実質無料」。しかし、実態は違うと矯正を受けた患者は口をそろえる。「良くなると思って始めたら、治療も放棄されて、ローンだけが残った」「娘の留学のために貯めてきた数百万円というお金をローンに回してしまったのに......」「毎月5万円の返済だったが、モニターのお金が入らなくなり困っている」など。
問題となっているのは、東京や福岡などで歯科クリニックを運営するデンタルオフィスXとその関連会社で、SNSなどで宣伝すれば治療費が実質無料になると勧誘し、全国の患者から総額27億円を集めていた。しかし、モニター報酬の支払いは滞り、ほとんどのクリニックが閉院してしまった。クリニックが閉院してしまったため十分な治療が受けられず、健康被害も起きている。
被害者弁護団の加藤博太郎弁護士は「中途半端な治療が行われたため、?み合わせも悪く、すきっ歯のまま放置されている患者もいる」と話す。クリニック運営会社の社長は3月に取材に応え「だまし取ろうというつもりはない。きれいな歯になった患者の方が広めてくれるんだったら広告になると思って始めたのがモニター募集。20億円の所在はわかっていない」と話していた。
森山みなみアナがその仕組みを解説。ある原告は、金融機関でローンを組み治療費154万円を支払った後、SNSなどで歯科矯正の宣伝を行う報酬として毎月およそ5万円がキャッシュバックされ、治療費が実質無料になるというものだった。最初の数カ月はキャッシュバックは行われていたが、去年3月、報酬支払い日の延長の通告が届いた。その理由はウクライナ情勢と書かれていた。以降、報酬の支払いは停止され、今年1月、クリニック運営会社を患者ら153人が提訴し、6月6日さらに159人が提訴した結果、原告312人、損害賠償請求額はおよそ4億5900万円となった。加藤弁護士は「悪質性が高い」と話している。
ジャーナリストの浜田敬子は「クリニック側が最初から意図的にやったのか、途中で経営が厳しくなって払えなくなったのかは分かりませんが、似たようなケースはあった。たとえば、商品を購入すれば年利10%とかでお金が戻るとうたって、途中からお金が振り込まれなくなるような詐欺商法に似ていると思った。また、モニター無料というものに気を付けるべきなのは、騙された側の人が知らないうちに宣伝に加担してしまっていることがあること」と指摘。
自身も歯科矯正の経験があるという起業家の安部敏樹は「歯列矯正は痛いんです。それに耐えたうえで裏切られるのはつらいでしょう。ただ、個人のSNSの宣伝で150万円以上のものが無料になるという値付け、その時点で怪しいですね」と訴える。
テレビ朝日の玉川徹は「原告の訴え通りだとすると詐欺の疑いがありますね。これまでも投資詐欺はあったが、配当がもらえますというものだった。で、お金を預けると帰ってこないパターンでした。今回は配当が歯の矯正になっている。お金じゃないものも配当にできるんだという驚きはある」と話した。
安部は「同じスキームがほかで行われているかもしれない。調査したほうがいい」と話した。
(バルバス)