<1年前のワイドショー>昨(2022)年の今ごろ、東京都が首都直下型地震の被害想定を10年ぶりに見直しました。東日本大震災を受けてつくった被害想定から、10年がたち、変容した都市インフラや社会事情を反映させようとしたのでした。
(J-CAST)ワイドショー通信簿の「首都直下地震の新想定 生き延びても『体調崩す人が続出』」(2022年5月26日、フジテレビ系「めざまし8」)によると、想定震度を最大7とすると、その際の死者は6148人、負傷者9万3435人の甚大な被害が予想されますが、10年前の想定よりも3~4割減となりました。木造住宅の密集地が半減したのが大きいとあります。
「新想定」の課題とは
時間を追ってどういったことが起きるのかを記載したことも特徴で、まず、地震直後は電気、ガス、上下水道はすべて停止、3日後に停電は減少し、ガスも一部で供給されますが、断水は続くといいます。これらがほぼ復旧するのは1カ月後ですが、マンションなどは排水管の修理が間に合わない可能性もある、とあります。
また、地震発生直後に起きる電話やSNSの支障、鉄道停止、道路の通行規制などは、1週間後から順次回復しますが、鉄道は1カ月たってもなお停止区間もあるとされます。帰宅困難者は、東日本震災時の352万人より100万人多い約453万人に達するとされ、衛生環境が悪化し感染症が蔓延する可能性もあると伝えています。
「首都直下地震『新想定』に課題(略)」(同日、日テレ系「スッキリ」)には、建物の耐震化や不燃化が進んだ「減災効果」はあるものの、想定への問題点を指摘する声も根強いとあります。防災システム研究所の山村武彦所長は「東日本大震災のとき、都内の揺れは激しい所でも震度4か5だった。震度6強あるいは7では家の中がどうなるかのイメージがわかない部分があります」といいます。
例えば、都内に16万6000台あるといわれるエレベーターは、地震発生時に2万2000台が停止すると想定され、長時間閉じ込めの可能性のほか、高層階の住宅では長い期間の生活を強いられる可能性もあります。
司会だった加藤浩次さんは「高層マンションがこの10年間で相当数建った。エレベーターが止まったら、何十階まで上がり降りしなければいけない、この課題はなかなか出口がない」とコメント。経営コンサルタントの坂口孝則氏も「夏に起きると(電力不足から)マンションではドアも開かず、エアコンも止まる。日ごろから、避難場所とか備えの情報収集が必要です」と警鐘を鳴らしていました。
今(2023)年も5月5日に石川県能登地方でM6.5、震度6強の地震があったばかり。「地震大国」日本では、どこに暮らしていても常に備えが必要だと痛感します。
(コムギ)