岡田惠和が描く20代女性3人の会話劇「日曜の夜ぐらいは...」に期待

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   4月30日、テレビ朝日系の午後10時に新しい連ドラ枠がスタートし、最初の作品となった「日曜の夜ぐらいは...」を見ました。

   このドラマは岡田惠和のオリジナル作品で、平凡な日常を送っている、3人の若い女性達を描いたものです。(この原稿は、ネタバレを含みます)

   公団住宅に車椅子生活の母と2人で暮らす、岸田サチ(清野菜名)は、家事や母・邦子(和久井映見)の介助を、淡々とこなし、慌ただしくアルバイト先のファミリーレストランに出かけて行きます。

   また、祖母・富士子(宮本信子)と田舎に暮らす樋口若葉(生見愛瑠)は、祖母と同じちくわぶ工場で働いています。周囲に避けられがちな子供時代を送った若葉は、工場でもなんとなく社員たちに疎まれています。

   3人目の野田翔子(岸井ゆきの)は、タクシー運転手。パッとしない営業成績で、勤務を終え一人暮らしのアパートに帰って、缶チューハイをあおるほか、することがありません。

  • 朝日放送(テレビ朝日系)の「日曜の夜ぐらいは…」番組ツイッター(@nichigura_abc)より
    朝日放送(テレビ朝日系)の「日曜の夜ぐらいは…」番組ツイッター(@nichigura_abc)より
  • 朝日放送(テレビ朝日系)の「日曜の夜ぐらいは…」番組ツイッター(@nichigura_abc)より

バスツアーで偶然出会った3人は...

   そんな3人が出会ったのは、人気ラジオ番組主催のバスツアーです。

   邦子(和久井)は、自分が参加するのは難しいと知りながらも、そのバスツアーに応募して、嫌がるサチ(清野)を代理として送り込みます。そのツアーには、偶然、若葉(生見)と翔子(岸井)も参加していました。

   バスの中で隣あわせに座った3人ですが、ノリのいい若葉(生見)と翔子(岸井)に対して、サチ(清野)はツアーに興味を示しません。しかし、観光客用の店で、お気に入りの商品を見つけると、思わず笑顔に。そこを、他の2人と一緒に写真に撮られ、それを見たサチは、自分の笑顔に驚き、若葉や翔子と一緒に、明るくツアーを楽しみます。

   温泉に1泊して、ツアーの集合場所に戻って来た時、若葉(生見)と翔子(岸井)が「LINEのアドレスを交換しましょう」と言うと、少し迷った後サチ(清野)は「やはり止めましょう。いい思い出はここまでにしたほうがいいです」と制します。ほかの2人は少しためらったあと、それに従い、3人とも別々の方向に帰って行きました。

   ありふれた日常を描く脚本(岡田恵和)が優れているので、3人の何気ない言動が見ている人々に生き生きと伝わってきます。彼女たちのその後の人生が、どうなっていくのか、大変興味深いものがあります。

   つまらない人生だと思っていても、何かのきっかけで、幸せになれるという感じがする、優れたドラマです。

渡辺弘(わたなべ ひろし)
渡辺 弘(わたなべ ひろし)
1952年生まれ。東京大経済学部卒業。1976年に日本テレビに入社し、制作局CP、ドラマ制作部長として番組づくりの現場で活躍。編成局長、制作局長、取締役報道局長、常務・専務を歴任した。「マジカル頭脳パワー!!」「THE夜もヒッパレ」「「スーパーJOCKEY」「24時間テレビ」などヒット番組をプロデュースした。 現在は「情報経営イノベーション専門職大学」客員教授。映像会社「2501」顧問。
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