石川県能登地方で5日(2023年5月)、最大震度6強を観測する地震が発生した。この地震では少なくとも5棟の住宅が倒壊した他、「長周期地震動」予測の緊急地震速報が今回初めて発表された。被害を防ぐために注意すべき点とは何か。今日8日の「ZIP!」は、耐震専門家の和田章・東京工業大学名誉教授をスタジオに招き、詳しい話を聞いた。
石川県珠洲市からの生中継では、一階部分が完全に潰れてしまった住宅の姿が。窓枠が外れて内部がむきだしになった2階部分は、家財道具が折り重なるように倒れている。地震発生時、この住宅には70代女性が取り残されていたが、駆けつけた消防隊員によって救助され、幸い命に別状はなかった。
数百キロ離れた場所でも...
「日本の古い木造住宅は1階に居間があったり広い部屋が多い。2階は子供部屋など小さい部屋が多く、どうしても1階だけが揺れる。日本の家屋は柱が横に傾いてそのまま崩れてしまう」(和田名誉教授)
周辺には、柱が斜めに傾いてしまっている建物もみられる。
「この中には入らない方がいいですよね。最近は携帯で水準器みたいなのがありますよね。柱が5度、6度傾いていたら大工さん呼んで直してもらった方がいいですね」(和田名誉教授)
もう一つの注目ポイントが長周期地震動。数百キロ離れた場所でも被害が発生し、高層階ほど揺れが大きいのが特徴で、マグニチュードの大きな地震ほど発生しやすい。
森圭介アナウンサー「地震の波と建物の揺れの周期が一致したときに、共振により建物が大きく揺れてしまう現象です。高い建物が揺れているのに、隣の建物が全く揺れていないことが起きるということです」
和田名誉教授「東日本大震災のときに、大阪の咲洲庁舎が1.5メートルゆれたが、地面を歩いている人は何も気がつかなかった」
森圭介アナ「気象庁が長周期地震動を取り入れるようになったのは、高いビルの上にいる人に気をつけてほしいという注意喚起でもあるわけです」
和田名誉教授「気象庁が発表したのは大切なことなんですが、聞いた瞬間に対策できるわけではない。普段から高層階に住んでいる方は事前に対策してほしい。長周期の地震は昔からあったが、そこに我々が大きなビルを作るようになった。石油タンクがあふれたり長周期の現象は起きていたが、ちょっと発表が遅かった」
森圭介アナ「昔からあったが、見えやすくなってきた」
風間俊介(タレント)「高い建物が倒壊する恐れというより、中にいる人が家財道具がぶつかってケガをするということですか」
和田名誉教授「そうですね。揺れによる内部の問題で倒壊はしないと思います。下層階は動きの量が少ないので、高さの下から1/3より上、50階建てであれば20階以上くらいから注意したほうがいいですね」
高層ビルでは、地震発生時に非常口や階段に急ぐと事故になることもあるので、あわてて外には移動せずに机の下などで頭を保護すること。エレベーターは最寄階に停止させて降りることなども重要だ。
(みっちゃん)