ギャンブルをこよなく愛し、借金を抱えていることを公言。酒とタバコにまみれただらしない私生活をネタにしては笑いを取る「クズ芸人」たち。「相席スタート」の山添寛、「空気階段」の鈴木もぐら、「ザ・マミィ」の酒井貴士、ピン芸人の岡野陽一が有名どころだが、最近、彼らをテレビで見ない日は無い。山添に至っては、この春、深夜枠とはいえ、テレビ朝日系の2つの新番組でメインを務めるとか。
「愛すべき」部分
彼らの魅力は、人間が誰しも持っている自堕落な部分を隠さず話すこと。そもそも人からお金を借りるのは、相手の懐に入り込む技量と器量が必要だ。「しょうがない奴」と思いつつも、どこかに「愛すべき」部分が無い人間にお金を貸そうとは思わないものだ。だから彼らはある意味、非常に人間臭い魅力を持っているともいえる。
しかし、その魅力は「男」として見た場合にも果たして伝わるものか?昔から「ダメな男」通称「ダメンズ」ばかり好きになってしまう女性は少なからず存在しているし、本当かネタかは判別しかねるが、酒井にはマッチングアプリで知り合った浮気癖のある彼女がいるそうだし、岡野はタワマンに住む金持ちの彼女と同棲中だそう。今年に入って離婚こそしたが、鈴木もぐらは二児の父でもある。
果たして「クズ」はモテるのか? 答えは4月18日(2023年)放送「ロンドンハーツ」(テレビ朝日系)にあった。この日の企画は「ラブマゲドン」。「もしも地球上にこのメンバーしかいなければ、誰をパートナーに選ぶか?」をフィーリングカップル形式で進行する。毎回、最後に男が1人だけ残るようにキャスティングされている。基本、1巡目に選んだ相手が本命で、ここでカップルが成立すると相思相愛となる。これが2巡目、3巡目となると、「俺(私)のこと、好きみたいだから」「あの人にフラれちゃったから」みたいな邪念や妥協が入り、そんなやりとりも見ものだったりする。
「嘘でしょ!?」「マジ!?」
今回は、狩野英孝、パンサー尾形、とろサーモン久保田、岡野陽一、みなみかわ、男性ブランコ平井、ザ・マミィ酒井、の男性芸人が7人と、女性側は藤田ニコル、横山由依、磯山さやか、雪平莉左、大島麻衣、あの、の6人が出演した。
俄然色めき立つ男性陣。合コンであればトイレに立った女子たちから「今日、ハズレだわ」と不満をもらされそうな男性陣のような気がするが、意外にも女性陣もノリノリ。藤田ニコルに至っては、本気モードのメイクで参戦し、「ちゃんと肩も出して、チークもキラキラにしてきました」と笑う。
その藤田ニコルを1巡目に選んだのが岡野だった。41歳のクズ芸人が、25歳の人気ファッションモデルを選ぶなど、おこがましいにもほどがあるが、その理由を岡野が「最初はそんなプラス(の印象)じゃなかったんですけど、友人の鈴木もぐらって奴がいて、そいつが一緒にお仕事した時に『めっちゃ良い人だ』って言うのを聞いて、それで急に好きになっちゃって。僕が信用するもぐらが『良い人』って言ったんで。パチンコをちょっと嗜むというのを聞きまして、パチンコをする女性で悪い人がほんといなくて」と熱弁をふるう。
果たしてその結果は?......なんと!まさかのカップル成立だった。大喜びで両手を上げる岡野に対し、周りの共演者たちは「嘘でしょ!?」「マジ!?」と動揺を隠せない。岡野を選んだ理由を訊かれたニコルが「借金があるのも知ってるんですけど、『だったら自分が働けば良いや』って思って」と。これにMCの田村淳(ロンドンブーツ1号2号)が「にこるんのヒモだって。良いなあ」と。
「誰が自分を容認してくれるか?」と...
これだけでも驚きだが、次にカップル成立したのが、とろサーモン久保田とあのちゃんだった。スタジオではざわめきが。舌足らずな口調で話す独特の発言やエピソードがウケて、ここ最近、バラエティ番組にひっぱりだこで、どこか幼さの残る雰囲気のあのちゃん。久保田があのを選んだ理由を「何回かお仕事させてもらったんですけど、この世界に入って初めて、腰が見えるくらい(頭を下げて)俺に挨拶してくれたんですよ、俺みたいなクソの人間に。そこで夢に出てきました。『このような親切な人がいるんだ』って、そこから一生忘れてない。人として認めてくれたのがあの方です」と、初めて会った時に丁寧な挨拶をしてくれたことから好意を寄せるようになったことを明かした。あのが久保田を選んだ理由は「最初は印象が良くなかったんですけど、会って何回も共演してたら、めちゃくちゃ優しくて、挨拶してくれるから」と。
久保田と言えばSNSでの発言が炎上したり、離婚した元嫁に対しての酷いエピソードが山ほどあったりと、こちらもかなりのクズっぷり。
岡野、久保田とクズが立て続けにカップル成立し、しかも相手は今人気の若い女性タレントというこの非常事態にふと思った。「クズは、相手を見定めるのが巧い」ということ。誰かれ構わず借金の申し出をするのではなく、ある程度あたりをつけてお願いするような彼らには、「誰が自分を容認してくれるか?」と見極める能力が身についているのではないか、と。 それゆえ、自分を選んでくれそうな相手を指名し、カップル成立に至ったのではないだろうか。そんな邪推をしてしまうほど、今回の放送は衝撃であった。にこるんもあのちゃんも私生活ではクズを掴まないようにと願うばかり。
(子守熊)