運送「2024年問題」 「無料配送」は消えるのか (スッキリ)

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   森圭介アナが「ネットスーパー、ネットショッピング使われている方は多いと思いますが、今、運送業界で深刻になっているのが『2024年問題』です。これは、トラックドライバーの時間外労働が抑えられる法律が2024年に適用されるため、1日に運べる荷物の量が減少する恐れがあり、この先荷物の3割が運べなくなるかもしれないということです」と30日(23年3月)切り出した。

   40代のトラック運転手は「ただ労働時間を短くして、それで解決できる問題ではないと思う」と困惑。こう話す理由は、2024年4月からトラック運送の時間外労働の規制が強化され、これまで上限がなかった運転時間が年間で960時間までに制限されるため。運送会社の社長は「労働者を守るという意味では労働時間が短くなるのはいいと思うけど、仕事をこなすのは難しくなる」と話す。

  • どうなる2024年問題(写真はイメージ)
    どうなる2024年問題(写真はイメージ)
  • どうなる2024年問題(写真はイメージ)

加藤浩次「あと1年しかない。いい形に解決してほしい」

   年間960時間となると週5日働くとして、残業はざっと1日4時間まで。しかし、野村総合研究所によると、運搬できなくなる荷物は2030年時点で35%になると試算されている。前出の運送会社社長は「収入減を悲観して辞めてしまったドライバーが2人います。今のドライバーさんにしわ寄せがきていて、一番かわいそうです」とドライバーの苦悩を代弁した。今後、時間外労働時間の多い長距離トラックのドライバーは収入減を懸念しどんどん辞めていくのではと懸念しているという。

   ドライバーの1人は「いくら稼げるかというのが大事。それが減らされるとなると死活問題」。別のドライバーは「終わる時間に終われればいいが、終われないほうが多い。荷物を下ろす場所がなければ待たなければならないし、制限時間は超えてしまう」と話す。

   週5日勤務のある長距離ドライバーは1日目に東京から12時間かけて大阪に荷物を運び、翌日大阪から東京に戻りつつ運送。これを週2往復。残りの1日は短距離の運送や荷物の積み下ろし。しかし渋滞や荷待ちの時間を含めると1日4時間の時間外労働では収まらないのが現状だという。東京―大阪間の運送を週1回に減らすしかなくなるという。

   流通経済研究所の吉間めぐみ主任研究員は「残業時間の上限が決まってしまうと、稼ぎたいドライバーが何度も往復するということが難しくなる。ドライバーのための法律のはずが、ドライバーを苦しめる可能性があるというもどかしさがある」と指摘。

   この問題の対策に動き始めている企業もある。サッポロビール静岡工場では、ビールを運ぶトラックの空いたスペースに、近隣の日清食品静岡工場の荷物を乗せて荷台の空きスペースを埋め、積載率100%で運ぶ試みを行っている。これにより20%削減できるという。

   司会の加藤浩次は「1年後ということですが、それまでにいろんな議論をしないといけないですね」とコメント。

   経営コンサルタントの坂口孝則は「物流には2種類あって、1つは個人宅に運ぶ側と、企業間でのやりとりをする側。個人宅向けは細かい荷物がたくさんあり、企業間は時間指定が厳しく、積載率は50%程度にせざるを得ない。多くは空気を運んでいるというのが現状です。とはいえ効率化の議論ばかり進めるのはおかしくて、前提には賃金を上げることが大切。となると問題は無料配送に慣れすぎてしまった個人配送になるのでは」と語る。

   ジャーナリストのモーリー・ロバートソンも「日本のサービスは世界一ですが、みんなそれに慣れすぎている。価値に対して価格を払うのは当然で、即日配送には1000円多く払うなどすることが必要」と指摘。

   加藤は「あと1年しかない。いい形に解決してほしい」と結んだ。

(バルバス)

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