世界屈指の観光都市であり、来2024年にはオリンピックも開かれるフランス・パリでデモやストライキが激化している。その影響で観光名所のエッフェル塔やベルサイユ宮殿が臨時休業。ルーブル美術館でも3月27日に職員20人ほどが入り口付近を封鎖し、入場できない事態となった。28日にはパリで一部のデモ隊が暴徒化し、あちこちで催涙ガスの煙が上がり、窓をたたき割る人々も現れた。30日の「スッキリ」が詳報した。
パリ支局の宮前明雄記者は「今年1月以降で10度目となる大規模なストライキが行われていますが、その影響で初めてエッフェル塔も臨時休業になりました」と現場から伝えた。観光でパリを訪れていた日本人男性は「地下鉄で移動しようと思ったが、ストライキの影響で本数が減らされていて乗れず、ホテルまで歩いて移動した」と話していた。
ストライキも
混乱の原因は、マクロン政権が進める年金改革。年金の受給年齢を現在の62歳から64歳に段階的に引き上げることを柱として物で、3月16日に投票なしで強行採決されたため。この年金改革に反対する100万人以上の市民が各地でデモを起こし、警察と衝突。ストライキも起きている。
宮前記者は「労働組合が中心になっていますが、将来に不安を感じている現役世代、年金世代が、法案が強行採決されたことを受けてマクロン政権を批判し、反政府運動みたいな状況になっている」と話す。その結果、市民生活にも大きな影響が及び、市街のごみ集積所は回収業者がストライキを起こしているためゴミが山積み。6600トンものゴミが収集されずにいるという。デモ隊の暴徒化で火災が発生したが、消防士もストライキ中。来年7月に予定されているパリオリンピックにも影響が及ぶことが懸念されている。
司会の加藤浩次は「フランスは元々デモが多い国ですが、それが激しくなっているようですね」とコメント。
経営コンサルタントの坂口孝則は「日本は企業別組合ですが、フランスは職業別組合なので、フランス中の同じ職業の人が一斉にストライキをしていることがありうる。マクロンは次の大統領選に出馬しないので、レガシーを残したいという気持ちがある。私の認識する限り、年金改革自体への反対よりも強行採決という強引な手法に対する反対の声が大きい。どのように落ち着けていくかがすごく難しい」と話した。
ジャーナリストのモーリー・ロバートソンは「日仏の風土の違いで、日本では年金の原資がないならしょうがない、辛抱しろとなるが、フランスでは納税した対価としての社会保障は権利だと考える。議会の外で行われる抗議活動で法案が覆る成功体験もある。持久戦になるのではないか」と指摘。
加藤は「これからフランスに旅行する人に外務省が注意を呼び掛けていますね」と続けると、森圭介アナが「外務省はホームページで、デモ隊と催涙弾を用いて鎮圧を試みる警察との間に衝突が生じたケースもある。デモの周辺には近づかないよう注意を呼び掛けています。フランス内務省によると、次回のデモは4月6日に予定されています」と伝えた。
(バルバス)