WOWOWで、この3月13日に生中継された「第95回アカデミー賞授賞式」を見ました。
作品賞をはじめ多くの賞を受賞した「エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス」は、私も映画館で見ましたが、もっと興味をひかれたのは作品賞など主要8部門でノミネートされた「イニシェリン島の精霊」です。この映画を、Netflixで見ました。(この原稿は、ネタバレを含んでいます)
2022年のイギリス映画、監督は鬼才マーティン・マクドナーです。1923年、アイルランドの小さな孤島、イニシェリン島(架空の島)が舞台。本土が内戦に揺れていたとき、平和なイニシェリン島で暮らす純朴なパードリック(コリン・ファレル)は、ある日、親友の音楽家コルム(ブレンダン・グリーソン)から、突然絶縁を告げられます。
ある日突然の絶縁宣言がエスカレートしていく
長年友情を育んできた彼が、何故そんなことを言い出したのか理解できないパードリック(コリン・ファレル)は、賢明な妹シボーン(ケリー・コンドン)や、風変わりな隣人ドミニク(バリー・コーガン)の力を借りてもコルムに拒絶されます。毎日のようにパードリックと酒を飲み交わす生活を変えようと決心したコルムから、ついに「これ以上、自分にかかわると、自分の指を切り落とす」という、恐ろしい宣言をされる始末。コルム(ブレンダン・グリーソン)は、パードリック(コリン・ファレル)の無駄話は、もう嫌だというのです。
しかし、パードリック(コリン・ファレル)は、彼の気持ちの変化についていけず執拗に会いに行くのです。すると、コルム(ブレンダン・グリーソン)は、最終的に片方の手の指全部を、切り落として、パードリックの家のドアに投げつけました。
すると、パードリック(コリン・ファレル)が可愛がっていたロバが、その指の1つを食べようとして、喉に詰まらせ死んでしまいます。
激昂したパードリック(コリン・ファレル)は、恨みを募らせコルム(ブレンダン・グリーソン)の家に火をつけます。焼け落ちた家の傍の海岸に立っているコルムは、やって来たパードリックに、ロバが死んだことを、詫びました。
みんな懸命に生きている、イニシェリン島の様子を俯瞰できます。登場人物の全員が役に成りきっている点も見ごたえのある作品です。
人のやることは、好意をもってやったことが、悪意にとられることもあるし、その逆に、悪意をもってやったことが、受け入れられることもあると、本当に思いました。