大河ドラマがきっかけで研究が進むことも
しかし「女だから」という理由から、お田鶴の方が城主になったことを否定することは出来ません。
中世では夫が死んだ場合、妻が後家として家を取り仕切るのはよくあることです。
古くには、去年の大河『鎌倉殿の13人』でも活躍していた北条政子、さらに今川では寿桂尼など、亡くなった夫の土地を妻が相続することが当たり前でした。
中世は現代人が考えるよりもはるかに強い権力を女性が手に入れやすかったのです。
それでもお田鶴の方は今の段階では伝承上の存在でしかありません。
『女城主直虎』の時もそうであったように、大河ドラマがきっかけで研究が進むことはよくあることです。
女城主お田鶴の方の存在が証明されて、戦国時代の同時期にふたりの女城主が存在したと証明される日が来ることを願っております。
さて、今回の記事はここまで。
ドラマに関するさらに詳しい解説は、是非YouTubeチャンネル・戦国BANASHIをご覧ください。それではまた来週もお会いしましょう。さらばじゃ!
(追記:参考文献など)今回の参考文献は、『戦国「おんな家長」の群像』(黒田基樹著、笠間書院)や『今川義元とその時代 (戦国大名の新研究)』(黒田基樹著、戎光祥出版) など。エビデンスには細心の注意を払っておりますが、筆者は一歴史好きYouTuberであり、歴史学者・研究者ではございません。もし、間違い指摘やご意見などございましたら、この記事や動画のコメント欄で教えて頂ければ幸いです。
<第11回解説動画は、(J-CAST)テレビウォッチのオリジナル記事下動画や、YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」からお楽しみください>
++ 「ミスター武士道」プロフィール
1990年、三重県四日市市生まれ。年間100冊以上の歴史に関する学術書や論文を読み、独学で歴史解説や情報発信をするYouTuber。
一般向け歴史書籍の監修、市や県などの依頼を受けて、地域の歴史をPRする動画制作なども手掛ける。2019年に歴史解説チャンネル「戦国BANASI」を開設。2023年1月には登録者数が14万人を超えた。22年12月には『家康日記』(エクシア出版)を公刊。