「強盗殺人放火事件で死刑が確定していた袴田巌さん。逮捕されたのは30歳の時です。事件からおよそ57年が経過し、現在は87歳になっています。おととい(2023年3月13日)、死刑が確定していた裁判をやり直すことが認められました。この裏には、弁護団が1年以上かけて実験をして、証拠品を再現するなどの様々な努力があったんです。その結果、裁判所は死刑判決の決定的な証拠について『捜査機関にねつ造された可能性が高い』と指摘しています」と森圭介アナ。
15日の「スッキリ」で、冤罪事件を研究する明治大学の石田倫識教授が、争点となった「5点の衣類」や、今後の行方などについて解説した。
検察側は特別抗告するのか、しないのか
司会の加藤浩次は、事件から1年2カ月後にみそタンクから発見されたという証拠品の衣類の写真、弁護側の実験した血痕が黒く変色した衣類の写真、検察側の実験した血痕の赤みが残った布の写真を見比べ、「ずいぶん違いますよね」と指摘。
宮崎哲弥(評論家)は「そうですね。例えば弁護側の実験結果は、黒みをおびた(血痕)部分だけではなく、全体が茶色になっていますよね。明らかに証拠品と違う。1年2カ月もみそに漬かっていたんだったら、全体は茶色で血痕の部分は黒っぽくなっていくのが普通だと思うんですけど、なぜ当時気付かなかったのか」と疑問を口にした。
今後、検察側が最高裁に特別抗告するかどうかが注目されるが...。
加藤「ようするに、特別抗告するかしないかで時間が全然変わってくるということですよね。弁護側は、特別抗告しないでいただきたいと言ってますが」
石田教授はこの点についてこう指摘した。
「今この状況で、これまでの経緯、それから袴田さんの年齢や訴訟の経過を考えると、検察官は特別抗告すべきではないというのが私の意見です。もちろん、検察官には特別抗告する権利はありますが、その権利を行使するのが果たして正義なのかというのはまた別。あともう1つ、今回は有罪・無罪を決めているわけではなく、裁判をやり直すかどうかを決めている。裁判をやり直すかどうかを決める裁判を延々としていたら、いつまでたっても再審公判が始まらない。もし検察官が『袴田さんが犯人なんだ』と言うならば、再審公判は公開の法廷ですから、そこで堂々と訴追すればいい」
(ピノコ)