WBC日本代表「侍ジャパン」は12日(2023年3月)の豪州戦で大谷翔平が初回に特大3ランを放つなどで7-1で快勝し、1次ラウンドB組を全勝の首位で突破、準々決勝に進出した。8強入りは5大会連続となり、同日夜のスポーツ番組は日本代表の活躍ぶりを詳報した。
TBS「S☆1」槙原寛己氏の解説
大谷の第1打席、1球目は大きなカーブに泳がされて空振り。本塁打は2球目、ライトスタンド上段の自身の大きな写真がある看板を直撃した。WBCでは自身初の本塁打だ。「S☆1」(TBS系)でこの場面を振り返った槙原寛己氏(野球解説者)は「1球目に見たカーブをインプットしているんですよ。同じような球が来たら、なめるなよと。(初球は)いいカーブだったんですけど、2球目は同じような球で、投げ損じるとあそこまで飛ばされちゃうんです。すごいホームラン」という。
番組は先発・山本由伸の快投にも焦点を当てた。4回1安打無失点で奪三振は8、さすが2年連続「沢村賞」に輝く日本野球界屈指の実力を見せつけた。槇原氏は「変化球がストレートとほとんど同じ軌道できて曲がるんで、バッターは読みづらい。甘い球でもほかの球が凄いので、見極められない」「(映像を見ながら)何が凄いって、キャッチャーミットがほとんど動いていないでしょ。構えたところにぴたりと投げられるコントロールですよね」と絶賛する。
フジ「S-PARK」では藤川球児氏・鳥谷敬氏が...
「S-PARK」(フジテレビ系)は、1次ラウンド4戦での大谷の活躍ついて、元WBC日本代表選手たちが分析した。大谷は中国戦(9日)で先発し4回無失点で圧巻のピッチングだったが、投げた49球を分析するとスライダーとストレートが中心で、メジャーで多用してきたスプリットはわずか1球しか投げなかった。なぜなのか。
藤川球児氏(WBC元日本代表投手)は「昨季からスライダーを投げることでピッチングが向上している。高さ、コース、スピード組み合わせ次第でたくさんのバリエーションがある」といい、スライダーを新たな伝家の宝刀として多用しているからだという。
大谷の投球をバッター目線で分析したのは鳥谷敬氏(2013年WBC出場)。「(投球が)自分の方に向かって当たるかもしれないと恐怖感がきて、そこから曲がってストライクゾーンにきている」といい、「打者としたら、自分の感覚にないスライダーが来ている。構えがほどけてから、もう1回戻ってきたところでバットを振る力は出せない、もう投手の勝ちです」と話す。
また、鳥谷氏は打者としての大谷も絶賛した。中国戦で低めに落ちる球をすくってレフトフェンス直撃の2点タイムリーツーベースにもっていったことついて、「どちらの方向に打つのか、しっかり整理をして打席に入っている。この時、ランナーが1、3塁という状況で、ひっかけたら(ライト方向へ飛んで)ダブルプレーになる可能性もある。だったら、逆方向(レフト)への犠牲フライを意識して打席にたつ、その考え方の部分で打てるのだと思う」
「ピッチャーをやっていて『こういう打ち方・待たれ方をされたら嫌だな』というのを、実際にバッターとして再現していく。(中国バッテリーが)アウトを取りに来たのを逆手にとって、引っかけない方法で打っている、この考え方は素晴らしいと思う」といい、二刀流だからこそ生まれた一打だったと分析した。
藤川氏は大谷のバッティング練習時のスイングに注目した。バットを肩に乗せた状態で「あえてトップの位置を作らずに打っている」という。他の選手が試合同様の構えで練習しているのに対し、「内側からバットを滑らせながら出していく。外回りさせない打ち方(最短距離でバットを出す)をしています。基本に忠実ですね」。
そして、13スイング目(全22スイング)から試合同様、バットを立てる構えに変えた。「順番に大きくしていくのが大谷のやり方」といい、それでさく越えを連発していたのだ。「アメリカがそういう指導法だから、日本の選手は学ばなければいけない」と話した。
準々決勝で対戦するのはA組2位のイタリアとなり、16日19時から東京ドームで行われる。
(コムギ)