俳優のブルース・ウイリスさん(67)が「前頭側頭型認知症」だったことを家族が発表した。ウイリスさんは昨年3月に「失語症」の診断を受けたとして、俳優の引退を表明していたが、今月になって「この病気に光が当たることを願っています」とした。20日(2023年2月)に「めざまし8」が特集した。
「誰もがかかる可能性」
ウイリスさんが主演した、近未来ヒーローアクション映画「ザ・ローブ」は、先月公開されたばかりだった。
「私たちの多くが聞いたこともないような残酷な病気で、誰もがかかる可能性があります」と、家族は言う。
これまでにもウイリスさんに、「兆候」は見えていた。
2021年の映画撮影中、ウイリスさんが「なんで俺はここにいるんだ?」。2020年のやはり映画撮影中に、「セリフを言ってから発砲する」はずが、その前に発砲してしまった。共演者がセリフを念押ししたが、同じことを繰り返してしまった。
ウイリスさんは昨年3月の引退以来、姿を現すことはなかったが、エマさんのSNSでは、去年の10月に大きな庭で子どもたちと遊ぶ姿が公表された。また、今月6日、ロサンゼルスで、友人と歩きながらスナックを食べている姿が、一般に流されている。
元妻デミ・ムーアさんのSNSでは、昨年年12月のクリスマスパーティーで5人の子どもたちや現在の妻エマ・ヘミングらとデミさんの揃った写真も見ることができる。
順天堂大医学部・新井平伊・名誉教授は、「認知症全般に言えるが、軽度の障害の場合は、普通に生活できる」「ウイリスさんの場合は、失語症から始まる、側頭葉から始まるタイプなので、わりと経過は軽くて、周囲が気付きにくいのが特徴です」
日本では、65歳以上の認知症の患者は推計で600万人。2025年には700万人=高齢者の5人に1人=が認知症になると予測される。「アルツハイマー型認知症」が57.3%と最も多く、15.5%が「血管性認知症」、ウイリスさんの「前頭型側頭型認知症」は10%だ。
「アルツハイマー型」は、異常たんぱく質により、神経細胞が減少し、海馬や頭頂葉が委縮、記憶障害などの症状が出る。「血管性」は、脳梗塞などで十分な血液が送られず神経細胞が機能低下する。「前頭側頭型」は、「性格変化や行動障害・失語」などの症状が出る。
新井教授は「ウイリスさんは、側頭葉から始まるタイプなので、行動障害は進行してから出てくるパターンだと思う」。このタイプは、40~65歳の比較的若い人が発症する「若年性認知症」の一種。障害の程度は軽度・中等度・高度と約5年おきに進んでいく。この先、「散歩中に急に大声を出す」「他人の物をとってしまう」との症状も可能性があるが、家族の支えとして「怒らないで寄り添う」などの対応も必要になってくるという。
(栄)