「サザエさん」(フジテレビ系)でタラちゃんの声を務めていた声優・貴家堂子(さすが・たかこ)さんが2月5日(2023年)亡くなった。12日の放送では、タラちゃんが画面に登場したところで、「1969年の放送開始から50年以上にわたりフグ田タラオ役の声優を務めていただいた、貴家堂子さんが逝去されました。いつも明るくてみんなに愛されるタラちゃんを演じ続けてくださった貴家堂子さんのご冥福を心からお祈りいたします」と画面に追悼テロップが出て来た。
最後の出演作まで、あと「2回」
日曜の夕方は子ども頃から、「サザエさん」を見ながら夕飯を食べるのが習慣になっているので、毎週「サザエさん」を見ていただけに、もうあのタラちゃんの声が聞けなくなるのかと思うと悲しくなる。
当初は「貴家堂子」と漢字で書かれていて、なんて読むんだろう。「きや・どうこ」さんかな、などと思っていたら、ある時から、エンディングで「さすが・たかこ」とルビが振られるようになって、まさかの読み方に、驚いたことを思い出した。
亡くなる3日前の収録には参加していたとのことで、26日放送「サザエさん ひな祭り1時間SP」が最後の出演作となるというから、あと2回、心して見て、その声をしっかり記憶にとどめておきたい。
あどけないタラちゃんの声を80代の貴家さんが演じ続けたことにこれぞ声優のプロフェッショナル、と思う。昨今は、キャラクターとシンクロし、キャラになり切ってステージに立つアイドルまがいの声優も多いが、やはり、声優なのだから、声で勝負して欲しいと思うのは私だけではないはず。
これで、1969年の放送開始から声優を務めているのは、「サザエさん」の加藤みどりだけとなった。いまでは、サザエさんよりもフネさんのほうが若い声だったり、カツオの友達・中島も、花沢さんもすっかり声が変わってしまって、一瞬、誰? と思うことも多いが、そこがアニメのいいところで、声優が変わっても役は続いていき、サザエさん一家も年を取らない。サザエはずっと24歳だし、波平は54歳のまま。福山雅治や大沢たかおと同い年というのには驚くが、そんなことは気にしない。
「サザエさん」はたしかに存在した昭和の風景を描いてくれるありがたい存在で、マンネリ大いに結構。永遠に続いて欲しい日本を代表するアニメだから。
(子守熊)