フィリピンの収容所から指示したと見られる連続強盗事件の2人の容疑者が7日(2023年2月)朝8時半過ぎ、マニラの収容所を出て、日本へ向かった。「めざまし8」は、残る2人の強制送還を受けて一連の強盗事件で起訴されるまでの捜査のハードルを解説した。
8時半過ぎに、今村磨人容疑者(38)と藤田聖也容疑者(38)が収容所を出た。残る渡辺優樹容疑者(38)と小島智信容疑者(45)は、判断が7日に持ち越された。現地での刑事訴追を裁判所が棄却し次第、強制退去となる見通しだ。渡辺・小島容疑者は、元妻らから女性や子供への暴力をめぐり告訴されている。マルコス・比大統領は8日に来日する。
今後の捜査の展開は?
警視庁の約15人の捜査員が昨日夕、成田空港を出発。今村容疑者ら2人は、きょう午前中に日本へ向かい、日本領空に入り次第、機内で逮捕される見通しだ。
かつてビクタン収容所にいた男が6日、収容所にいる人間にビデオ通話で聞いたところ、今村容疑者ら4人は、帰国直前に「懲罰房」に入れられ、2部屋に2人ずつ収容されているという。収容所では、先週、抜き打ちで携帯電話などが一斉に押収されたが、収容者によると「ほとんどがまだ、持っていると思う。でも、ばれたら二度と返さないって感じ」。
今後の捜査はどうなるのか?
4人の容疑者はまず、2019年の特殊詐欺事件について調べられ、捜査当局は起訴を目指す。この起訴の後で、一連の強盗事件の捜査が本格化することになる。
元東京地検特捜部検事の若狭勝弁護士によると、強盗事件の起訴のためには、4人が「強盗事件について指示した証拠が必要だ」。関係者の供述に加え、指示に使ったテレグラム、SNSなど客観的証拠が必要だという。そのうえで「3つのハードル」があるという。
第一は、「勾留期限20日間のタイムリミット」。特殊詐欺事件を調べる「20日間」で容疑者4人を起訴できなければ、強盗事件での起訴も難しくなる。ただし、若狭弁護士は、特殊詐欺事件については、証拠が集まったものから「起訴・再逮捕を繰り返し」、この間に強盗事件の分析を進める方法もある。
第二のハードルは、強盗の実行役が、指示役とされる4人に対面で会っておらず、名前も知らなかったり、だれに指示されたかが分からない可能性がある。テレグラムなどの音声や文章は、入力したのが誰なのか判別できない可能性がある。若狭弁護士は、「現時点の報道の限りでは、強盗に関する証拠が乏しく、起訴は難しいと思われる」。第三に、「ルフィ」のアカウントの共有スマホを使いまわしていると、だれがどの事件を指示したか、の特定が困難となる可能性がある。
(栄)