司会の羽鳥慎一が「寒い日が続いていますが、寒さが厳しくなると腰の痛みということになります」と切り出してパネルを示す。「冬に腰痛を悪化させないためには、どうしたらいいのか。最近の研究でストレスや座りすぎが腰痛の原因になることがわかってきました」と伝えた。27日(2023年1月)の「モーニングショー」。
冬に多くなる傾向と運動不足
厚生労働省の報告書によると腰痛のある人は全国で約2800万人とされ、4人に1人が腰痛持ちと言われている。体の悩みで、腰痛は男性の1位、女性の2位となっている。
東京大学医学部附属病院の松平浩特任教授は「日本人の約8割以上が一生に一度は腰痛になると言われています。特に冬場に多くなるのは自律神経の関係が大きいが、外に出なくなることも要因。運動不足です」と解説した。
バイオリニストの廣津留すみれも腰痛に悩んでいる。「移動の長いフライトのとき痛くなる。ヒールでバイオリンを弾くときも痛くなる。きっかけは大学時代、豪雪のボストンで尻もちをついて、尾?骨周りを痛めて以来です」と話す。
松平さんは「フライトで気圧が変化すると交感神経が興奮して痛みが出やすい。またバイオリンを弾く姿勢は少し反り気味になり、背面に負担がかかる」と解説。
スポーツキャスターの長嶋一茂は「僕の人生は腰痛との闘い。中学で腰椎を圧迫骨折し、ヘルニアに。高校では、かがんで顔を洗えなかったが、ある時からピタッと止まっていた。でもこの6~7年はずっとひどい」。
テレビ朝日の玉川徹は「今はないが、昔はヘルニアをやった。自衛隊の取材で富士駐屯地の塹壕に隠れていたんだけど、飛び出した瞬間動けなくなって、担架で運ばれたことがある。僕は兵士に向かないことがよくわかりました」と明かす。
進行が押しているため、羽鳥は話題を先に進めて「座りすぎも腰痛の原因です」として、日本人は1日平均で420分座っていて、これは世界一長いという調査を紹介。立っている時の腰の負担を「1」とすると、座っている時は「1.4」、前かがみに座ると「1.85」になるという。さらに座りすぎと寿命にも関係があり、1日4時間未満しか座らない人と、11時間以上座る人を比べると、11時間以上の人の死亡リスクは40%高まるという研究もある。
松平さんは「体を動かすと、筋肉からいいホルモンが出る。座りすぎないということが健康対策の1つのトレンドになっています」と言う。
羽鳥慎一「整骨院とかの話じゃなくなっていますね」
玉川が「カウチポテトみたいに横になっていると、どうなんですか?」と質問すると、松平さんは「椎間板の負担は減りますが、今度は関節への負担が増えます。左右差の負担が大きくなってしまます。最近は立って仕事をすることも推奨されている」と回答。
すると玉川はいきなり立ち上がり「なら、立ってコメントしよう」と言うが、羽鳥に「腰のことを考えたら立ったほうがいいですが、いろいろ考えると座ってください」とたしなめられた。
羽鳥はさらに「腰痛の原因ですが、なんと22%は原因がわかっていません。その中には心理的ストレスが原因で起きる腰痛があるんです。ストレスによって起きる脳の機能の不調が腰痛につながっているそうです。健康な状態だと脳内で痛みを抑える機能が正常に働くのですが、ストレスがあると痛みを抑える機能が弱くなってしまいます。それが腰痛となって現れるということです」と説明。
松平さんは「ストレスによる腰痛がかなり大きな部分を占めています。慢性の腰痛の方の半分くらいは脳が関与している。痛みが過敏になってくるんですね」と補足。
玉川がストレスで起きる腰痛の原因と対策を取材している。話を聞いたのは東京大学病院麻酔科の笠原諭医師。
玉川は「難治例の腰痛の人は、腰の骨や筋肉ではなく心因的理由があるということです。メカニズムとしては、体には痛みがあってもそれを和らげる仕組みがあるそうです。痛みが脳に伝わるとドーパミンが出る。それが脳内を巡って最終的にはセロトニンという幸せホルモンが出て痛みを抑える。ところがドーパミンが出にくい人がいて痛みが抑えにくい。それが慢性腰痛につながっている」と説明。
対策としては「セロトニンを出やすくする薬がある。抗うつ剤ですね。保険適用の薬もある。それと認知行動療法も効果があるそうです」と玉川。
羽鳥は「腰痛の話じゃないみたいになってますね。整骨院とかの話じゃなくなっていますね」とコメント。
松平さんは「心因性という言葉は使いません。脳機能の不具合でちゃんとした病気だと国際的に認められています。腰痛を含め、慢性の痛みには多かれ少なかれ脳が関与しているんです」と話した。
(バルバス)