NHKドラマ10「大奥」。よしながふみ原作「大奥」といえば、その昔、TBSで映像化されており、いまさらNHKがまたやる意味などあるのか。NHKもついにネタが尽きたか！？ と正直思っていた。それが、初回を見て、その面白さにすっかりハマった。「こちらを大河ドラマにすればよかったのに」という声が上がるのも頷ける。
若い男子のみが感染し、致死率80％に及ぶ疫病「赤面疱瘡（あかづらほうそう）」が流行した江戸時代。男と女の社会的役割が逆転するストーリーも、今の時代にしっくりときた。
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ドラマ10「大奥 八代将軍吉宗・水野祐之進編」第1話の水野祐之進（中島裕翔さん）と徳川吉宗（冨永愛さん） （C）NHK
斉藤由貴の鬼気迫る演技も
とにかく、第1話「8代徳川吉宗×水野祐之進編」で、将軍・吉宗を演じた冨永愛にはやられた。原作から抜け出たようなビジュアル、凛々しさで圧倒的な存在感を見せつけた。演技経験はそう多くないだろうに、ここまで魅せてくれるとは、予想外だった。砂浜を白い馬に乗って疾走する場面は、誰がどう見ても「暴れん坊将軍」。しかもこちらは大河と違い、CGではなく本当に馬に乗っていた！
そして、第2話「3代・徳川家光×万里高次有功編」。こちらは家光を堀田真由、有功ことお万の方を福士蒼汰が演じ、赤面疱瘡で亡くなった家光の死を偽装するため、春日局（斉藤由貴）の策略により、女上様に据えられた家光の娘の物語だ。堀田真由といえば、「ゼクシイ」のCMのイメージしかなかったが、こんなに巧いとは思わなかった。福士蒼汰も、公家出身の美しき僧・万里小路有功にぴったり。春日局役の斉藤由貴の鬼気迫る演技は言うに及ばず、とにかくキャスティングが素晴らしい。
脚本は「仁－JIN」の森下佳子。これまで描かれなかった大政奉還までを描くというから楽しみだ。NHKの本気が伝わる。是非見て欲しい。
（くろうさぎ）