司会の羽鳥慎一が「博多駅前の路上で女性が刺殺された事件で、昨日(1月18日)女性の元交際相手の男が逮捕されました。テレビ朝日では男の母親の話も聞いています」と切り出した。
石山アンジュが語った自身の被害と「加害者カウンセリング」
逮捕された男は31歳の元交際相手。会見した博多警察署長は「本日、被疑者を殺人容疑で通常逮捕しました」と話した。男が身柄を拘束されたのは現場から1.5キロ離れた路上で、逮捕時、男は刃物を所持していた。男は容疑を認めているという。
容疑者の母親はテレビ朝日の取材に「気が短い人。自分の思い通りに行かないときや思いがうまく伝わらない時、人は殴らないけど、物に当たる。家電に拳を当てたりする」と答えて泣き崩れた。
被害者の女性は本来なら18日に39歳の誕生日を迎えるはずだった。シングルマザーで、昼は事務職、夜は中洲の飲食店でアルバイトをしていた。一方の容疑者はこれまで、大阪、広島、鹿児島など各地の飲食店を転々としたあと、中洲のバーで働いていた。この店には被害者の女性も訪れていたという。
被害者の女性は「付き合っていたが、別れた後にトラブルになってしまった。去年10月まで付き合っていた」と、相談に訪れた警察で語っていた。警察には、別れた後に電話があり、職場で待ち伏せされているなど複数回相談していた。11月にはストーカー規制法に基づく接触禁止命令が容疑者に出されていた。
森山みなみアナがこれまでの経緯を説明した。去年10月に女性が付きまとい被害を警察に複数回相談。警察は男に警告し、女性には転職を促した。11月には容疑者が女性の職場に行くなどしたため、ストーカー規制法に基づき禁止命令が出され、女性に緊急通報装置を渡している。12月には容疑者が女性から絵文字のメールが届いたと警察に話したことを受け、警察が女性の自宅付近を10日間警戒。1月6日には警察が女性に経過を確認し、特に異常がないと報告を受けている。しかし、その10日後の16日、犯行が起きてしまった。警察は「法に基づいた適切な対応をした。このような結果になったことは非常に残念」としている。
元埼玉県警捜査1課の佐々木成三氏は「警告、禁止命令など、警察の対応は迅速で適切だったと思う。しかし、警察は違法行為がないと逮捕できない難しさがある」と指摘。またストーカー被害の相談は年間約2万件で、警察官は約26万人しかおらず、佐々木氏は「すべてのストーカー被害に対応するには警察官の人数が足りない」とも話す。
羽鳥は「女性はかなり早い段階で警察に相談し、警察も対応していたのにこういう結果になってしまいました」とコメント。
社会活動家の石山アンジュは「警察に相談して、把握されている中での犯行は残念です。私も以前、殺害予告をされたことがあり警察に相談したら、パトロールに来てくれたり、電話をくれたりした。しかし、どうしても24時間張り付いてもらうのは無理。2万件ものストーカー相談すべてを防ぐのは難しい。京都府では公費で加害者へのカウンセリングを行っている。ストーカーの多くは被害者意識を持っていることがあり、拒否されるほど被害者意識を持ってしまうことがあり、カウンセリングで誤解を解く仕組みがある。こうしたアプローチも必要」と主張。
弁護士の徐東輝は「ストーカー規制法は改正を経て、位置情報を取得することや電子メールを送ることも禁止されている。今回の事件では加害者もそれらの禁止事項はしていないので、警察はやれることはやったと思っています。それでも防げないとなると、アンジュさんが言ったようなソフト面のアプローチも必要なのかもしれません」と話した。
(バルバス)