今まで1日の新型コロナの死者数を連日1ケタ台と発表してきた中国だが、14日(2023年1月)に国家衛生健康委員会は、「先月8日から今月8日までのおよそ1カ月の間に新型関連の死者がおよそ6万人いた」と発表。さらに北京大学は、中国の感染者数が累計で約9億人に達したという推計を発表。これは中国の総人口の約64%に当たる。
「春節」の大移動を目前に控え、中国政府はなぜこのタイミングで死者数を発表したのか。16日の「モーニングショー」が迫った。
「ピークアウト」と「自信」
テレビ朝日・中国総局長の冨坂範明は「1番大きいのは国際社会からのプレッシャーだと思います」と話した。
「連日1ケタ台の死者数というのは、あまりにも不透明だということで、公開を求める声が国際社会から強まっていた。また、多くの国が水際対策の強化に踏み切るなど、中国にとって不都合とも言える状況にもなっていた。国内的にも、身近な人がどんどん亡くなっているのに、いつまでも数字を出さないわけにはいかないという事情もあったでしょう。ようやく公表に踏み切った中国ですが、今度はWHO(世界保健機関)のテドロス事務局長との電話会談を公表するなど、透明性のアピールに躍起になっている状況です」(冨坂)
司会の羽鳥慎一「この1カ月で6万人近い死者数という数字に関する中国国内の受け止めは?」
冨坂「ようやく、全く実態とかい離した数字から、少し実態を伴った数字に近づいてきたなという印象です。ただ、この6万人という数字には、実際はもっと多いのではないかという懐疑的な見方もあります。農村などではコロナという診断もないまま自宅で亡くなった方も多いので」
山口真由(信州大学特任教授)は、冨坂総局長のリポートを受け、ある視点を提示した。
山口「私はこの発表には中国政府の自信と安堵を感じます。ある程度ピークアウトして通常に戻っている、と。大きな賭けに勝って、こういう発表をしても国内は動揺がなく乗り切ることができるだろうというような」
冨坂「おっしゃる通りです。今回、死者数の発表と共に、ピークアウトしたということも実際に発表しています。中国政府としては、ある程度の勝算があって公表に踏み切った。その可能性もあると思います」
羽鳥「今回の数字がどれだけ正確なのかは疑問がありますが、さらなるデータの公表はやはり必要なのかなと思います」
(ピノコ)