9日(2023年1月)の朝、大阪湾の淀川河口付近に突如現れた体長8メートルのマッコウクジラ。出現当初は潮を吹くなど動いていたが、11日の夕方以降、クジラが動く様子は確認されていない。このクジラに「淀ちゃん」と愛称を付けていた大阪市民も心配している。13日の「モーニングショー」が取り上げた。
実は、この淀ちゃんのようなクジラの迷い込みや座礁事故は世界中で起きていて、日本だけでも年間約300件にも上るという。
救出成功例は...
中国・浙江省では去年4月、体長19メートル、60トンのマッコウクジラが海岸に打ち上げられた。地元当局の関係者や漁師らが救助に駆け付け、水をかけるなどしたが動かない。この日の夕方、満潮となるとクジラは無事、沖に帰っていった。2016年には徳島県に10メートルの傷だらけのマッコウクジラが打ち上げられた。衰弱していたが、体にロープを巻き付け、船で引っ張って誘導すると、無事に沖に戻った。
しかし、こうした救出成功例はごくまれ。2013年にヨーロッパ北部のフェロー諸島に打ち上げられたクジラは死亡。2日後に解体作業に入ると、クジラの体からガスが噴き出し大爆発を起こした。また2004年には台湾で打ち上げられて死亡したクジラの死骸の運搬中に爆発し、周囲には異臭が立ち込める騒ぎになった。
座礁したクジラを助けるのが困難な理由とはなんなのか?
迷い込んだクジラがいた場合、対応するのは発見場所の自治体。水産庁に対処マニュアルがあり、生きている場合は救出するのが原則とされているが、明確なルールはない。
リポートする野上慎平アナは2007年の愛媛県での事例を取り上げ「救出に来た小型船が、クジラが暴れたために転覆し、結果的に人が亡くなってしまいました」と伝えた。
日本鯨類研究所の茂越敏弘研究員によると、「ロープを使い船で引っ張るという方法もあるが、クジラの体を傷つけてしまうことがあり、一時的にクジラを海に返せたとしても生存につながらないケースが多い」という。前述した徳島の事例でもクジラは死んでしまったそうだ。
大阪の松井一郎市長は報道陣に対し「巨大すぎてどうにもならない。ルールもないし、どうしたらいいのか」と訴えたという。
スポーツキャスターの長島一茂は「少し酷な言い方をすれば、群れから離れてしまって岸に上がってきたクジラは、病気を抱えている場合が多いと言われている。一時的に救出しても、病気なので結局は亡くなってしまう。松井市長の話は正直な本音だと思います。しょうがない面もある」とコメント。
バイオリニストの廣津留すみれは「クジラがいずれ死んでしまうのだとしても、海に返してあげたいという気持ちは誰もがあると思う。どうしようもないというのは、ちょっと「歯がゆい気持ちになる」と話す。
司会の羽鳥慎一も「このままにしておくのはいけないと思ってしまいますね」と廣津留に共感を示す。
長嶋一茂は「それでも残念ながらすべての命を救えるわけではないですよね。しょうがないと思うしかない」としながらも、「温暖化の影響でエサが変わったとかいう理由もあるのかもね。そっちの研究が進めば、こうした事例も少なくなるのかもしれませんね」とコメントした。
野上アナは「大阪府は対応を協議中ということです」とコーナーを締めた。
(バルバス)