「鎌倉殿の13人」ベスト回は第何話? 解説動画のミスター武士道が振り返る
<歴史好きYouTuberの視点 年末特別編>

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   いや~乱世乱世。どうも歴史好きYouTuberのミスター武士道です。

   今回は、連載「いざ!大河ドラマ」の年末特別企画! 12月18日(2022年)に最終回を迎えたNHKの「鎌倉殿の13人」(全48話)を振り返り、最も心に残った回を決めたいと思います!

  • 歴史解説YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」提供 「鎌倉殿の13人 最も心に残った回は?」
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衝撃的だった上総介広常の最期

   候補の1本目は「第15回 足固めの儀式」です。

   鎌倉殿の13人序盤のクライマックス、坂東の有力者・上総介広常の最期は忘れられないですね。

   石橋山の合戦に敗れ、房総へ逃げ落ちた頼朝を救ったのが上総介広常でした。

   自分を救ってくれたにも関わらず、その強大な力を恐れた頼朝は、上総介に謀反の罪を着せ、誅殺しました。

   佐藤浩市さんの演技も相まって、罪もない上総介の犠牲は全武衛(全視聴者)が涙したに違いありません。

   衝撃的な上総介広常の死でしたが、この事件の詳しいことは史料には残っていません。

   愚管抄では、上総介の朝廷を蔑ろにするような発言を謀反と咎め、梶原景時に殺害させたことを頼朝が後白河法皇に語ったとされていますが、頼朝のリップサービスとも考えられており、やはり詳細は不明です。

   上総介が死んだあと、彼が頼朝の大願成就を願う文書を奉納していたことが発覚したというのは、吾妻鏡に記述があります。

   しかし、ドラマのように坂東に謀反の計画があり、それに上総介が関わっていたという事実はありません。史料が乏しいからこそ、三谷幸喜さんの創作が際立った上総介の最期だったと思います。

新しい義経像

   次の候補に挙げたいのは、「第20回 帰ってきた義経」。

   様々な反響を呼んだ、菅田将暉演じる義経も忘れられません!

   義経と言えば悲劇のヒーロー。判官贔屓という言葉が生まれるほど、その死を惜しまれた人物です。

   義経は様々な創作物の題材にもなっており、その実像については今も研究が続けられていますが、「鎌倉殿」の義経はかなり尖っていましたね。

   勝利のために手段を選ばない義経は、ときにサイコパスと言われることもありました。 そんな義経の最期は、悲しくも、どこか穏やかなものでした。

   身を寄せた奥州の藤原泰衡に裏切られ、衣川の館に追い詰められる義経。頼朝の使者として訪れた義時に、鎌倉攻めを想定した最後の奇策を披露しました。この奇策はのちに梶原景時へ伝えられ、彼を感嘆させました。(これはドラマのオリジナルです)

   そして義経は、死地に向かった弁慶の活躍をひっそりと見守っているシーンで退場。首となって鎌倉へ帰ってきました。

   あれだけ大暴れした義経の最期が、こんなに静かなものになるなんて......まったく予想外の展開でした。単なる悲劇のヒーローではなく、清濁併せ持った英雄として描かれた義経を生涯忘れることは無いでしょう。

終・善児?

   そして、候補3本目には「第33回 修善寺」を選びました。

   2代将軍頼家の最期も衝撃的でした。

   後ろ盾の比企一族を失い、北条時政・義時の思惑によって伊豆に幽閉されてしまった頼家。後鳥羽上皇と結託して倒幕を計画していたところを、義時の刺客、善児とトウによって殺害されました。

   頼家の死に関しては、『吾妻鏡』では詳細は語られず、『愚管抄』には義時の手の者によって殺されたと記されますが、理由までは不明です。実際に頼家と後鳥羽上皇が結んでいたかはわかりませんが、頼家を支持する御家人は健在であり、北条時政・義時らが争いの火種を消そうとしたのは疑いないでしょう。

   さらにこの回は、鎌倉殿の13人最凶オリジナルキャラ・善児退場の回でした。修善寺で「終・善児」。ダジャレか!?と思わず突っ込んでしまいましたが、三谷さん曰く偶然だそうです(番組公式サイトより)。

   個人的に頼家は鎌倉殿の13人で最も注目していたキャラクターだったので、この回は特に印象に残っています。最後の立ち回りは見事でした......が、見せ場を善児に全て持っていかれた感は否めませんでした(笑)。

   以上、私の特に印象に残った回を3つ挙げさせていただきましたが、これ以外にも、「第25回 天が望んだ男」(頼朝落馬)や「第31回 諦めの悪い男」(比企能員の最期)、「第45回 八幡宮の階段」(実朝暗殺事件)など、印象深い話がたくさんあり、1つには絞れません! 最も心に残った回は......全部です!

   本当に1年間楽しませていただきました! 来年も大河ドラマ「どうする家康」について、YouTubeチャンネル「戦国BANASHI」での解説や、当「いざ!大河ドラマ」連載を続けていきます。どうぞよろしくお願いいたします。

   さて、今回の記事はここまで。ドラマに関するさらに詳しい解説は、是非「戦国BANASHI」をご覧ください。それではまた来年、お会いしましょう。さらばじゃ!

(追記:参考文献など)今回の参考文献は、『史伝 北条義時 武家政権を確立した権力者の実像』(山本みなみ著、小学館)、『現代語訳 吾妻鏡』(吉川弘文館)など。エビデンスには細心の注意を払っておりますが、筆者は一歴史好きYouTuberであり、歴史学者・研究者ではございません。もし、間違い指摘やご意見などございましたら、この記事や動画のコメント欄で教えて頂ければ幸いです。


++ 「ミスター武士道」プロフィール
1990年、三重県四日市市生まれ。年間100冊以上の歴史に関する学術書や論文を読み、独学で歴史解説や情報発信をするYouTuber。
一般向け歴史書籍の監修、市や県などの依頼を受けて、地域の歴史をPRする動画制作なども手掛ける。2019年に歴史解説チャンネル「戦国BANASI」を開設。2022年冬には登録者数が13万人を突破した。22年12月には『家康日記』(エクシア出版)を公刊。

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